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実習生の監理団体、許可取り消しの半数超に国が「優良」認定

外国人技能実習生を企業などへあっせんする監理団体で、法令違反によって許可が取り消された30団体のうち、半数以上にあたる18団体は国から「優良団体」との認定を受けていたことが分かった。虚偽の監査報告書の提出や名義貸しなどの不正行為をしていた。国の審査は団体側の自己申告に基づくため、基準があいまいで形骸化しているとして、識者は「実習生を守るためにも審査の厳格化が必要だ」と指摘する。
 監理団体は2017年から許可制となり、全国に約3500団体ある。実習状況を監査し、実習生を保護する役割を担う。一定の要件を満たせば優良団体として、実習生の在留期間の延長や人数枠拡大といった優遇を得られる。厚生労働省などによると、1755団体が認定されている。
 だが、読売新聞の調べでは、国から優良団体と「お墨付き」を得ていた東京、千葉、福岡など16都県の計18団体で、いずれも技能実習適正実施・実習生保護法に反する行為が確認された。
(読売新聞オンライン 1月6日)

厚生労働省が設定している「優良な監理団体の要件」は①実習実施者について、技能等の修得等をさせる能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める基準に適合していること② 監理団体については、技能実習の実施状況の監査その他の業務を遂行する能力につき高い水準を満たすものとして主務省令で定める 基準に適合していること。
具体的には下記の項目のすべてが満点の6割以上ならば「優良な監理団体の基準に適合する」と認定される
・実習の実施状況の監査その他の業務を行う体制(50点):監理事業に関与する常勤の役職員と実習監理を行う実習実施者の比率 監理責任者以外の監査に関与する職員の講習受講歴等
・技能等の修得等に係る実績(40点):過去3技能実習事業年度の基礎級、3級、2級程度の技能検定等の合格率等
・法令違反・問題の発生状況(5点/違反等あれば大幅減点) 、直近過去3年以内の改善命令の実績、失踪の割合
・相談・支援体制(旧配点15点、新配点45点):他の機関で実習が困難となった技能実習生の受入に協力する旨の登録を行っていること。他の機関で実習継続が困難となった技能実習生の受入実績等
・地域社会との共生(10点):実習実施者に対する日本語学習への支援 、実習実施者が行う地域社会との交流を行う機会、日本文化を学ぶ機会の提供への支援
 
これだけの要件を設けていて定期的に監査をしなければ、悪用されることは避けられな
い。そのとおりになってしまったのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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