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三菱製紙、40歳以上の正社員の希望退職募集…紙の需要低迷で人員削減へ

三菱製紙は、正社員の5%に当たる60人の希望退職を募集すると発表した。2022年6月1~13日に募集し、翌月の退職を予定している。デジタル化の進展やテレワークの普及で紙の需要が低迷する中、原材料価格の高騰が負担となっており、人員削減に踏み切る。  対象は22年4月時点で40歳以上の正社員。生産現場の勤務者は対象外となる。退職金に加算金を上乗せ支給し、希望者には再就職の支援も行う。  三菱製紙の21年3月期連結決算は、25億円の最終赤字だった。
(読売新聞オンライン 12月25日)

東京商工リサーチによると、2021年に希望退職を募集した上場企業は80社で、募集人数は1万5000人超。02年・03年に続いて2年連続で1万5000人を上回った。非上場企業は把握できないが、加えれば社数・募集人数とも各段に増える。 コロナ以前から、DX導入による事業構造の転換に備えて黒字リストラが相次ぎ、社員の若返りを図る流れがあった。これにコロナ不況が重なったのである。  従来からリストラと雇用の流動性促進を関連付ける議論もあるが、中高年社員の再就職がスムーズに進まなければ流動性には向かわず、たんなる中高年の使い捨てに過ぎない。中高年に限らず再就職が厳しい環境にあっては、雇用確保は企業の責務だろう。 ワタミ会長の渡邉美樹氏は昨年12月31日に配信した「渡邉美樹メールマガジン」に次のように書いた。 <未曽有の危機の中、一人の早期退職やリストラをせずに年末を迎えられたことは嬉しい。 昨今、大手企業が相次ぎ早期退職を発表するが、ワタミはそれをしないと決めている。早期退職はしないと決めた上で経営することで、道なき道が開ける。一時的にスーパー等に外食社員を出向に出したが、社員もよくがんばってくれた>  社員を路頭に迷わさなかった事実はクローズアップされてよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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