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「氷河期世代」203人が合格 21年度の国家公務員試験

人事院は24日、バブル崩壊の影響で就職難となった「就職氷河期世代」を対象とした2021年度の国家公務員統一採用試験で、203人が合格したと発表した。統一試験は20年度に続き2回目。採用予定数(167人)を上回るのは2年連続となる。人事院担当者は、各省庁が積極的に人材を採用した結果とみている。
 試験の申込者数は5302人で、実質的な倍率は約26倍だった。今後、本省や全国の出先機関で順次採用される。 受験資格は1966年4月2日から86年4月1日までに生まれた人。政府は20~22年度に毎年度150人以上、3年間で計450人以上を採用する方針を示している。
(共同通信 12月24日)

社会保障政策の焦点は、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年問題ではなく、この世代が全員90歳を超える2040年問題である。
高齢者に投入される公的医療費・介護費が膨張するが、この年には就職氷河期世代が65歳を迎え、公的年金の受給世代に突入していく。だが氷河期世代は非正規雇用者が多く、年金無納付世代でもある。
氷河期世代が65歳を迎えたら何が起きるのだろうか。想定されるのは生活保護受給者の大量発生である。親子2代が社会保障費で支えられる側になれば、現行の社会保障制度は維持できまい。
命題として喧伝される持続可能性も水泡に帰してしまい、国民皆保険制度をはじめ諸制度が、自己負担増など国民にとって厳しい仕組みに変更されかねない。
それだけに氷河期世代の雇用安定化策はきわめて重要なのだが、あと5年も経てば氷河期世代は50代に入っていく。50代は早期退職の対象世代で、もはや正規雇用推進策は機能しなくなる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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