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女性管理職増 PBRが上昇

NECは10日、研修時間や女性管理職の増加などがPBR(株価純資産倍率)の上昇につながるとの分析結果を発表した。非財務指標の改善が財務指標を向上させることを示し、非財務分野への適切な投資につなげる。同日、サプライチェーン(供給網)全体で2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにする方針も示した。
非財務指標273個を傘下のアビームコンサルティングが分析した。PBRの変化について、それぞれの要素がどれだけ作用したかを調べた。結果、25個がPBR上昇につながっていることが分かった。部長級以上の女性管理職数を1%増やすと7年後のPBRが3%上昇、従業員1人あたりの研修日数を1%増やすと5年後にPBRが7%上昇する。
非財務指標での取り組みを財務指標と結びつけることで、「中長期的に強い財務基盤を作る」(藤川修執行役員常務兼最高財務責任者)。社内での分析を継続し、効果が見えれば非財務分析を経営の改善につなげるモデルの外販を目指す。
(日本経済新聞 12月11日)

女性管理職の増加がPBR上昇につがなることは、ESG投資の普及を顕著に反映している。
ESG(社会的責任投資)が重視される流れを受けて、日本取引所グループは「ESG情報開示実践ハンドブック」を作成した。
経済産業省も今年6月に「非財務情報の開示指針研究会」を立ち上げて、4つの提言として①サステナビリティ関連情報開示における価値関連性の重視②サステナビリティ開示基準の適用におけるオーナーシップ(主体性)の発揮③企業価値とサステナビリティ情報の関連性に関する認識の深化④ステークホルダーとの「対話」に繋がるサステナビリティ関連情報開示の実施――を発表した。
非財務情報は中小企業のM&Aでも重要な情報として取り扱われている。買い手側は顧客情報、在庫情報、従業員情報なども精査してうえで、判断を下している。未上場企業にも透明性が問われるようになったのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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