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三菱UFJ、営業員がキャリア選択

三菱UFJモルガン・スタンレー証券は営業員が自らのキャリアを選べる制度を導入する。雇用形態や年収、転勤の有無など3つのタイプから選択できる。1年契約で営業成績が優秀な場合は年収が1億円に達する可能性もある。金融業界は外資系を中心に働き方の多様化が進んでおり、人材の獲得競争が激しい。柔軟な雇用形態にして、人材をつなぎとめる。
2022年4月から始める。新制度の対象は富裕層向けビジネスを担当する総合職で若手を除いた営業員約1000人とする。
雇用形態は3つになる。雇用契約を1年ごとに更新するタイプは年収が営業成績によって変動し、外資系と同程度の数千万円から1億円ほどを想定する。専門人材に近く、管理職への昇進や転勤はない。
2番目は総合職で営業成績によって賞与が変動する。営業部門の管理職への昇進が可能で、転勤は本人の希望を考慮する。1番目と2番目は顧客の長期担当制にする。3番目は従来の総合職に該当し、営業部門以外への異動や管理職への昇進もある。年収や転勤頻度は従来と変わらない。
(日本経済新聞 12月4日)

この人事制度は、役員をめざしているような営業社員にとっては3番目が適しているが、いまの時代、証券会社に入社した若手社員で役員をめざす例は少ないのはないのか。外資系金融機関や国内のファンド運用会社、あるいはフィンテック企業なども含め、転職が当たり前ともいえる業界である。
20代の社員には、たとえ1年で雇用契約が切られていても、外資系並みの給与を求めて1年更新を選ぶ社員が意外に多いのではないかと思う。若ければ再チャレンジの場として転職先はいくらでもある。
ただ、住宅ローンや子供の教育費を抱えている社員は、生活防衛を優先せざるをえない。リスクを背負ったチャレンジは無謀な行為で、現実的ではない。40歳に近づけば、いまの生活水準を維持できる転職先もなくなっていく。
たとえ昇進は望めなくとも生計が破綻するよりはマシである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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