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求人1.15倍、2カ月ぶり悪化  10月

厚生労働省が30日発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント低下の1.15倍で、2カ月ぶりに悪化した。   新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が9月末の期限で全面解除されたため、求職活動を再開する人が増え、求人数の伸びを上回った。厚労省は雇用情勢について「求職者が引き続き高水準にあり、厳しさが見られる」と分析している。   有効求人倍率は、求職者1人に対し何件の求人があるかを示す。10月の有効求職者数は0.6%増の195万人で、0.5%増だった有効求人数(227万人)の伸びを上回った。景気の先行指標とされる新規求人数は0.4%増と3カ月連続で増えた。
(時事通信 11月30日)

総務省も11月30日に雇用関連データを公表した。発表した10月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下して2.7%。3カ月ぶりに改善した。コロナ禍によるリストラが一服したことが反映されている。 完全失業者も前年同月から32万人減って、4カ月連続の減少となった。就業者数は2カ月連続で減少の6659万人。国民の半数が働いている計算だ。 それでも10月の有効求人倍率は前月比0.01ポイント低下の1.15倍で、2カ月ぶりに悪化した。失業者が減ったとはいえ、求職者にとってはなかなか職が決まらない状況がつづいている。 雇用政策のシナリオは、学び直しによって未経験業種・職種の知識を習得し、異業種への転職を促して、雇用の需給ギャップ解消に向かうという内容だが、有効求人倍率の推移を見る限りは政策通りには進んでいない。 求職者の多くには学び直しの余裕はなく、一方の求人側も学び直し経験を容易に評価するとは思えない。実務経験を経ていなければ、あくまで未経験者に過ぎない。政策シナリオと現実のズレは否めないが、政策としては学び直しによる業種間移動を掲げる以外にないのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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