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従業員切望の週4日勤務制、雇用主も無視できない時がやって来た

「大退職時代」から得た重要な教訓が次第に明らかになってきた。それは、週に1日仕事を減らすことだ。
米国では現在、記録的な数の労働者が仕事を辞めている。8月には430万人、9月には440万人が退職した。各業界では経営者が人材を確保しようと、賃上げやインセンティブ(動機付け)を提供するものの、なかなか雇用には結びつかない状況だ。 だが、新たに行われた調査では、それほど極端ではないものの、まだ一般的ではない解決策が支持されていることが分かった。週4日勤務制だ。
金融大手ジェフリーズは、最近仕事を辞めた米国の若年層(22~35歳)に対し、元雇用主は退職を引き止めるために何をすれば良かったかと尋ねたところ、32%の人が「週4日勤務制を提案してくれたら残った」と答えた。これは、「賃上げしてくれたら辞めなかった」と答えた43%に次いで、2番目に多い回答だった。
この調査では、回答者の80%が週4日勤務制を支持していることも明らかになった。残りの20%のうち、短縮に反対したのはわずか3%で、17%は「どちらでもない」と答えた。
(CNN.co.jp 11月29日)

週休2日制の歴史は、1926年にさかのぼる。米国フォードが社工場勤務の労働者層に適用し、次いで事務員にも適用して各界に広まっていったと伝えられる。
日本で導入されたのは戦後になってからで、1965年に松下電器産業(現パナソニック)で導入したことが嚆矢といわれている。多くの企業で普及したのは80年前後だが、この時期には土曜日出勤も多く、隔週で土曜日出勤の企業も多かった。
土曜日は半日出勤の企業が多かったので「半ドン」と呼ばれた。当時、中堅エンジニアリング会社を経営していた知人はこう回想する。
「半ドンの日は勤務時間が午前中の3時間なので中途半端のように思う社員も多かったけど、残務整理と翌週の準備に充てたことで、平日の長時間労働を回避できていた」
週休2日制が官公庁に導入されたのは92年、公立小中学校と高等学校に導入されたのは2002年である。
企業の場合、出勤日が週に何日であれ、業績に影響が及ばなければ問題はない。滅私奉公から私生活重視への働き方改革が進む過程で、週休3日制の導入に火がつけば、高齢社員も無理なく働きつづけられる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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