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日看協、看護師の賃上げを厚労省に要請

日本看護協会は11月12日、後藤茂之厚生労働大臣と伊原和人医政局長、濵谷浩樹保険局長に、看護職員の収入増に関する要望書を提出した。また、賃上げの対象を救命救急センターを有する医療機関の看護職員に限定する動きがあったことから、看護職員が幅広く対象となることを求めまた。 要望書では①看護職員の賃金を抜本的に改善するための恒久的な措置②管理的立場にある看護職員を適切に処遇できる賃金体系の導入――を要望した。 看護職員の賃金が職責や職務に見合った水準とは言えず、夜勤など勤務条件が過酷であることを指摘し、夜勤手当を含むと20代では全産業の平均よりも高いが、30代以降に逆転し、年齢層として看護職員の就業者数が最も多い40代前半で7.4万円低いことを説明した。また、勤務先である医療機関を通じて給付する場合には、確実に看護職員の賃金引き上げとなる仕組みを求めました。
(日本看護協会プレスリリースを要約 11月15日)

政府は介護士と保育士の給与を月9000程度アップさせる方針を固めたが、看護師については調整中という。岸田文雄首相が新しい資本主義を掲げた当初は、賃上げ対象の職種に、介護士、保育士、看護師の3職種を示したが、賃上げ対象として確定した業種に看護師はいまのところ含まれていない。  その伏線になったのは厚生労働省「賃金構造基本統計調査」だろう。2019年の職種別平均賃金(月収)は、全産業平均35万2000円、保育士30万3000円、介護職29万3000円、対人サービス産業(宿泊、飲食、生活関連サービス)26万6000円。これらに対して看護師は39万4000円だった。  この数字だけを見れば看護師の賃上げが調整段階にあるのはやむを得ないが、日本看護協会としては看過できるはずがない。さっそく行動を起こして後藤茂之厚労相に賃上げ要請を行い、コロナ対応などを担う看護師が月額1%増の4000円アップとなった。来年9月からは3%増に移行するという。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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