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厚労省、介護助手コーディネーターを全国配置へ

厚生労働省は来年度から、介護施設で清掃など補助的な仕事を担う介護助手のなり手を探し、施設での活用方法の提案などにあたる「介護助手等普及推進員(仮称)」を全国に配置する。推進員は介護助手のなり手と施設をつなぐコーディネーターとして普及を支援する。介護現場の深刻な人手不足を緩和するねらいだ。
(中略)
厚労省はこれまで、介護助手活用のモデル事業を実施するなどして普及を図ってきたが、なり手確保の難しさや施設側の慎重姿勢などから導入は一部にとどまっている。
 このため、なり手と施設をつなぐ推進員の配置に乗り出すことにした。介護の職業紹介を行っている福祉人材センターに都道府県が推進員を配置した場合、人件費などを補助する。来年度予算の概算要求に必要経費3億円を計上し、全都道府県への配置を目指す。(読売新聞オンライン 10月29日)

介護事業者には、人材紹介会社や派遣会社に頼らざるをないケースが少なくない。求人サイトやハローワークで求人を行っても応募が乏しく、手数料負担を承知で利用しているのだが、手数料負担がかさんで経営を圧迫していることが話題になっている。
 人材紹介会社や派遣会社のあり方が問題なのではない。利用の仕方に問題がある。本来は必要に応じて利用すればよいのだが、採用体制の強化を図るよりも、人材紹介会社や派遣会社に依存しがちになってしまうのだ。
依存すれば手数料が膨大に膨らむだけでなく、採用体制をいっこうに強化できない。その意味で、公的な採用支援サービスが求められ、「介護助手等普及推進員(仮称)」の全国への配置には期待したい。
 一方、介護職の雇用では人手不足だけでなく、介護職の高齢化も深刻な問題である。介護労働安定センターの調査(対象・9244 事業所)によると、全従業員数(無期雇用職員と有期雇用職員の合計)に占める 65 歳以上の労働者の割合は 12.3%で、職種別では訪問介護員が最も割合が高く、4 人に1人が 65 歳以上。次いで看護職員の 13.1%、介護職員の 9.4%だった。
 高齢者の雇用促進は重要なテーマだが、高齢者が高齢者を介護する体制では早晩行き詰まってしまう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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