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大卒離職率が減少、31.2%に コロナ感染拡大で転職控えか

厚生労働省は22日、2018年3月に大学を卒業して就職した人のうち3年以内に仕事を辞めた割合は、前年比1.6ポイント減の31.2%だったと発表した。高卒者の場合は前年比2.6ポイント減の36.9%。就職後3年目に新型コロナウイルスが感染拡大したため、一部が転職を控えたとみられる。  新卒で就職して3年目に仕事を辞めた大卒者は、17年3月卒が9.9%だったのに対し、18年3月卒では8.3%と1.6ポイント減少。高卒者でも10.0%から8.1%に1.9ポイント減った。担当者は「20年度はコロナ禍で雇用環境が悪化し、転職活動を控えたのではないか」と話している。 (共同通信 10月22日)

 コロナ禍による転職控えは転職者の多い介護業界にもおよんでいる。ますます新卒採用が難しくなるなかで、中途採用に注力しようとしても「介護職がピタリと動かなくなった」(都内の社会福祉法人理事長)という。  介護職の場合、雇用環境を懸念して転職を控えているのではない。おそらく団塊世代の全員が90歳を迎えて高齢化のピークとなる2040年までは、介護職は売り手市場がつづく。 厚生労働省の統計によると、全国の介護職員の必要数は、23年度に約233万人で19年度から約22万増、25年度に約243万人で19年度から約32万増、40年度には約280万人で19年度から約69万人増。この必要数を満たすには、23年度までは毎年5万5000人、25年度までは毎年5万3000人、40年度までは毎年3万3000人を確保しなければならない。 転職先はいくらでもある職種である。では、なぜ転職の手控えが起きているのか。  感染リスクを懸念しているのだという。介護職はエッセンシャルワーカーとして、感染リスクには人一倍敏感である。かりに転職先の施設で感染対策が不十分だったら――?そんな思いを巡らせて、コロナが収束するまでは現職にとどまろうと判断しているのだが、飲食店が再開されても、介護職の移動にはしばらく時間がかかりそうだ。

小野 貴史

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小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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