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パソナ、小売り人材をDX担い手に 再教育し自社で活用

パソナグループは小売りやサービス業などからIT(情報技術)未経験者を中途採用し、グループ内のデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う人材に育成する。2024年5月までにまず300人を再教育する。経済産業省は30年に国内のIT人材が79万人不足すると推測する。DX対応が求められるなか、民間主導で企業の生産性向上に欠かせないIT人材の底上げを急ぐ。 10月から新たに「デジタルアカデミー社員」と呼ぶ中途採用枠を設けた。小売りやサービス業などからIT職の未経験者を正社員や契約社員として迎え入れ、1年間かけてIT人材に再教育する。 入社後、まず半年間でITやビジネスの基礎知識を学んでもらう。複雑なプログラミング技術が不要な「ローコード開発」という手法を使い、業務用アプリケーションの作成などを学ぶ。 (日本経済新聞 10月20日)

総務省の「情報通信に関する現状報告(令和3年版情報通信白書)」によると、日本企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するうえで、最も多い課題は「人材不足」で53.1%である。ほかにも「費用対効果が不明」(32.8%)、「資金不足」(26.9%)、「既存システムとの関係性」(25.8%)などの課題が挙げられたが、人材不足が群を抜いて多い。 今後も人材不足が続く見通しだが、人数を確保するのなら、未経験者の育成も有力な対応策だろう。その意味で、パソナグループの取り組みでは、未経験者がどれだけのスキルを身につけたIT人材に転身するかに注目したい。  IT人材の育成には行政も乗り出した。東京都は実証事業「デジタル技術を活用した島しょ地域の社会課題解決プロジェ クト」の一環八丈町と連携し、八丈島で学ぶデジタルスクールを開校しました。 スクール運営をネットラーニング(東京都新宿区)に委託して、ITエンジニア育成講座、フロント・バックエンドエンジニア養成講座、IT リテラシー講座、各種スキルアップ講座を開く。 この事業では、八丈島の魅力を体験しながら学び、関係人口の創出から島への移住・定住促進につなげていく。さらに島内在住者を対象にITリテラシー講座などを開き、島内におけるデジタル技術の活用機運醸成を図っていく方針だ。 地方創生とIT人材育成を組み合わせて、2つの社会課題解決にアプローチする野心的な取り組みである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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