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雇用指数、初のプラスに 日銀調査、国民不安和らぐ

日銀が11日発表した9月の生活意識に関するアンケート調査で、国民の雇用への不安が和らいでいることがわかった。1年後の雇用に「不安をあまり感じない」と答えた人の割合は26.0%と3カ月前より0.4ポイント上昇。2006年からの現行調査で、「かなり感じる」の割合(25.5%)を初めて上回った。
調査対象者はパートやアルバイトを含む勤労者で、日銀によれば正社員を中心に雇用への不安が和らいでいるという。新型コロナウイルスの流行後も海外に比べ解雇が少なく、最近は人手不足が目立つ業種が増えてきたことも影響している。1年後の収入についての見方も改善した。
景気が1年前より「良くなった」と答えた人の割合から「悪くなった」を引いた景況感判断DIは、前回調査から6.3ポイント改善しマイナス55.3だった。1年後の先行きを示す景況感判断DIはマイナス19.8と4.9ポイント悪化した。
(日本経済新聞 10月11日)

岸田文雄首は10月11日の衆院本会議で「成長なくして分配なし、まず成長をめざすのが重要。そのうえで分配なくして、次の成長はない」と述べた。成長と分配は対立概念ではなく、相互作用によるスパイラルを形成するという。この方針に沿って、賃上げ支援税制の強化も表明した。
 すでに日銀の調査では、現在の暮らし向きは、1年前に比べて「ゆとりが出てきた」との回答 が増加し、「ゆとりがなくなってきた」との回答が減少した。その裏付けとして、収入が1年前に比べて「増えた」が増加し、「減った」は減少した。さらに1年後については、「増える」が増加し、「減る」回答 が減少した。
 新政権はこの流れを加速したいだろうが、このタイミングで、財務省の矢野康治事務次官が『文藝春秋』で経済対策を「バラマキ合戦」と批判したことが波紋を呼んでいる。その影響は“言論の範囲”にとどまりそうだ。麻生太郎前財務相の了解を得たうえでの投稿であり、岸田首相も「決まったことには従ってもらう」と発言しただけで、矢野氏の主張が政策に反映されることはなさそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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