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秋・冬採用で就活「長期化」、内定辞退に悩む担当者

来春卒の大学生らに対する企業の内定式が1日、各地で開かれた。近年は秋・冬にも採用活動を行う企業が増えたことで、内定承諾後も就活を続ける学生が目立ち、内定辞退の時期がずれ込んでいる。「入社の意思表示の場」だった内定式の後も辞退者が出る可能性があり、各企業は引き留め策に頭を悩ませている。
 「採用予定数より2割多く内定を出したのに、それ以上に辞退者が出るとは。10月以降も採用を続けなくてはいけない」。ある人材サービス会社の採用担当者は嘆く。就職情報会社ディスコの7月時点の調査では、前年より辞退者が増えた企業は34%で、減った企業の16%を大きく上回った。コロナ禍からの業績回復で、企業の出す内定数が増えたのが要因とみられる。
 学生が内定を辞退する時期の遅れも目立つ。通年採用を行う企業や、採用の不足分を秋・冬に補充する企業が増え、内定承諾後も企業選びができるためだ。ディスコの武井房子上席研究員は「より希望に合う企業が見つかれば、内定式に出た後で辞退する学生もいるだろう」と推測する。(読売新聞オンライン 10月2日)

 企業は内定辞退に悩む、学生は内定取り消しに悩む。突然の破断に困惑するのはお互い様である。いまさら関係の復活は望めない。
 10月4日付け朝日新聞デジタルに次の記事が掲載された。
<企業からもらった内定は五つ。都内の有名私立大を来春に卒業予定の男性(23)は、すべての企業にこう返事した。  
「御社が第一志望です! 御社に入社させていただきます!」  
就活は「情より合理性」の世界だ。多くの企業は、そっけないメール1通で選考に落ちたことを知らせてくる。ならばこっちだって考えがあるぞ。申し訳ないけれど、内定をもらったらいけるところまでひっぱってやる――。そんな気持ちで就活をしてきた>
内定を辞退したら採用担当者に詰問されたという体験が昔から伝えられる。採用担当者は裏切られた思いに怒りを抑えきれなかったのだろうが、要は駆け引きに負けたのである。学生相手に醜態をさらしたところで、何事も生まない。
縁がなかったと割り切る以外にない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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