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若手自衛官「第2のキャリア」―防衛省、任期満了後の進路支援

防衛省は若手自衛官が任期終了後の進路に困らないよう手厚い支援を始めた。就職や大学進学を決めた人に「第2のキャリア」づくりを手助けする。自衛隊での経験の先に様々な選択肢を用意して入隊希望者の幅を広げ、少子化に伴う採用難の解消につなげる。
「『自衛隊新卒』という形で採用していただけませんか」。防衛省が全国50カ所に置く地方協力本部は今年から、各地の商工会議所などに一斉にこんな提案をしている。
企業の採用現場で就職活動をする若手自衛官を巡って「自衛隊の中途退職者」との誤解がある。多くの日本企業に新卒採用を重視する風潮がまだあり、自衛隊を途中で辞めた神座だとみられると不利に扱われかねない。
自衛官には複数の枠組みがある。任期のないものに防衛大出身者を含む「幹部候補生」や、各部隊とリーダーとして養成する「一般曹候補生」がある。
防衛省はより広く人材を集めるため、高校卒業程度の学力を持つ自衛官候補生を募集する。研修などを経て、およそ2~3年の任期付きで「任期制自衛官」となる。任期を終えると自衛官として勤務を続けるか就職するか進学するかを選ぶ。
(日本経済新聞 9月18日)

防衛省から任期制自衛官の就職支援の業務委託を受けているパソナは、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)と愛知県で合同企業説明会を実施している。パソナによると募集対象となる任期制自衛官の特徴は「隊員の多くが20歳代前半~30歳代半ばの若手人材」
「同年代の若者と比較して『規律正しさ』『実行力』『忍耐力』等に長けている」。
 元自衛官の教育サービス会社経営者は「自衛隊では理不尽なことに耐えるメンタルが鍛えられる」と語る。しばしばテレビで新人自衛官の研修が紹介されるが、各部屋の清掃状況を点検する教官が、起床後に畳んだ布団を引きはがし、やり直しを命ずる場面がある。
この行為は教育でも何でもなく、釈明不能の露骨なパワハラではないのか。しかし、この経営者は反論した。
「自衛隊の教育は戦場を想定して実施されている。戦場は理不尽な状況だらけで、物事の道理など通るわけがない。この理不尽さに対応できるメンタルを養うために、あえて乱暴なことを行っている」
理不尽な状況は企業でも多い。企業社会は、社内も、社外もけっして論理的ではない。さまざま思惑が蠢き、それに耐えられるメンタルがないと離脱しかねない。任期制自衛官にもっと期待してよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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