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複線型人事制度と職群転換制度で社員の「なりたい」を支援

プロパティエージェント (本社:東京都新宿区)はSDGsの17 の目標項目のうち「働きがいも経済成長も」「ジェンダー平等」に対しての取り組みとして、2つの人事制度を導入している。
ひとつは複線型人事制度で、これは複数のキャリアを選べるようにコースを設定する人事制度。一定の職位に昇格した後、マネジメント・組織運営を担うジェネラリスト職群と、専門技能を培い現場で能力を発揮するエキスパート職群の2つの職群から、自身の意向とスキルに応じて選択できる。
もうひとつは職群転換制度。最初に選択した職群から、別の職群に転換することができる。結婚などのライフイベントやキャリア設計の変化から、この制度を活用することで活躍の場を移している社員もおり、社員の「なりたい」に寄り添った制度となっているという。
(プロパティエージェント発行プレスリリースを要約 8月19日)

 プロパティエージェントがこの2つの人事制度を導入したのは2017年4月。導入した成果に挙げられるのは女性社員の起用である。導入前と比べて女性社員数75%増加し、現在の女性マネージャー比率は14%に達したという。
 女性マネージャー比率14 %という比率はどんな水準にあるのだろうか。帝国データバンクの調査(調査期間は2021年7月15日~31日、有効回答企業数は1万992社)によると、女性管理職の割合は前年比1.1ポイント増で過去最高を記録したとはいえ、平均8.9%である。同社は約5%上回った。
政府目標の30%以上にはまだ遠いが、この目標値を超えている企業は8.6%に過ぎない。
複線型人事制度も職群転換制度も、ある意味で社員本位の制度である。社員が会社に合わせるのではなく、会社が社員に合わせる制度ともいえるのではないか。同社は社員の「なりたい」に寄り添った制度と述べているが、社員の士気が格段に向上したことは容易に察しがつく。
生産年齢人口の減少にともなって採用難に悩む企業が増えていくが、プロパティエージェントのような人事制度を運用すれば採用競争力を発揮できる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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