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IT人材育成へ 日生が研修施設

日本生命保険はIT(情報技術)に精通した人材の育成を加速する。2021年度内に専用の研修施設をつくり、22年度からグループ各社のIT人材教育を本格的に始める。グループ全体で約3000人が対象。営業活動のデジタル化など事業モデルの転換に弾みをつける狙いだ。
 最大1憶5000万円を投じ、東京都大田区に所有する施設を増設する。従来は20~30人程度の会議室を各社が交代で使用するため同時参加できる人数が限られた。新たに最大150人を収容する教室を用意し、対面とオンラインで研修に参加できる設備を整える。
(日本経済新聞 8月11日)

日本生命は2020年までの中期経営計画に先端技術・データの活用として「AIを活用した最適な提案商品予測」「N-PhoneへのAIアバター導入」「特定疾病の引受基準の見直し」「RPA活用による事務の児童か・効率化」を記載していた。
これらのテーマは21~23年の中期経営計画に「商品開発への活用」「販売・マーケティング・コンプライアンスへの活用」「AIを活用した引受査、支払査定サポート」として継承される。
 IT人材の育成をいちだんと強化する目的で研修施設を増設するのだが、IT人材の資を抜本的に高めるには企業内研修には限界がある。義務教育課程で、STEAM教育の強化が必須だ。STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)、Art(アート)の5つの領域を統合した教育概念で、理系のウエイトが高い。
アジアではシンガポールや台湾が先行して実践しているが、日本でも今年1月、中央教育審議会が答申で強化を訴えた。
「教育再生実行会議第11次提言において,幅広い分野で新しい価値を提供できる人材を養成することができるよう,新学習指導要領において充実されたプログラミングやデータサイエンスに関する教育,統計教育に加え,STEAM 教育の推進が提言された」
 ただ、STEAM教育を実践するには相応の教員を確保しなければならない。STEAM教育を受けたIT人材ならうってつけだが、そんな人材を確保できるのは当分先だ。それまでに
IT後進国として後塵を拝さなければよいのだが――。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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