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35~59歳、コロナ契機に転職意識

人材サービス大手のエン・ジャパンが35~59歳のミドル世代を対象にした調査によると、55%が「新型コロナウイルス禍で転職意欲が高まった」と回答した。業界の先行きへの不安や柔軟な勤務制度が認められないことなどが理由という。中堅世代でも転職を検討する動きが加速している。調査はエン・ジャパンの35~59歳を対象にした転職サイト「ミドルの転職」の利用者を対象にインターネットで実施。4月30日~6月30日に1707人から回答を得た。
(日本経済新聞7月17日)

転職意識を35~59歳でとらえることは雑駁で、キャリア形成の分岐点になる40歳、45歳、50歳などで区切って調査しないと実情が見えてこない。それでもコロナ禍が転機になったことが見えてきて、興味深い調査である。転職検討理由を見ると、30代は「仕事を通じた成長実感の有無」、40~50代は「業界自体の先行きへの不安」が第1位だった。生活の負荷を背負う年齢になるほど、自分の成長よりも生活防衛に関心が向くのは当然だ。50代男性は「取扱い商材が生活必需品ではなく嗜好品のため、コロナ禍で当面売上回復の兆しがない。今後携わる商材に関しては現状及び将来を見据えたチョイスが必要だと考えるようになった」と述べている。コロナ禍によるキャリア観の変化については、調査対象者の約7割が「変化があった」と回答し、そのきっかけの第1位は「リモートワーク・テレワークなど柔軟な働き方の導入・拡大」だった。一方、「変化がなかった」と回答した方のうち、約7割は現在の働き方に「不満足」と回答。リモートワーク・テレワークへの移行が望まれている。30代の男性はこう答えている。「リモートワークができる業務にも関わらずリモートワークを実施しないなど、柔軟な対応ができない会社の対応に不信感を持った」35~59歳で転職意識が高まったことは、次のコメントに象徴されている。「この先転職がより一般的になり、自分自身のスキルやキャリア向上に繋がる経験が重要になると考えた」(30代男性)転職という用語にはどこかしら”躓き”というイメージがあるが、実態が変化したことを踏まえれば、別の用語を普及させたほうがよいのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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