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求人サイト「正確な情報を」厚労省が法改正へ

厚生労働省は13日、雇用仲介サービスの整備に向けた報告書をとりまとめた。企業の求人情報を提供するサイトなどが正確な情報を掲載するよう新たな措置を講じることが適当だと記した。賃金などの労働条件が掲載内容と異なるトラブルが起きていることに対応する。有識者らでつくる研究会に報告書案を示し、了承された。今後は労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で議論し、2022年の通常国会に職業安定法改正案を提出することを目指す。求人サイトが扱う求人件数は19年度で1811万件。国の許可や届け出が必要なく、厚労省も具体的な事業者数などを把握できていない。報告書は苦情を受け付ける体制を整備することや業務に必要な範囲内で個人情報の収集、保管、使用をすることも求めた。
報告書はこのほか、国が求人サイトなどを活用して労働市場全体の情報を把握できる仕組みを構築することも盛り込んだ。厚労省は法律で規定を設け、迅速に情報を収集できるようにする方針だ。効果的な雇用対策の実現につなげる。

(日本経済新聞7月13日)

労働条件が掲載内容と異なる背景は、入社すれば我慢して会社に従うという優越的な意識が染み付いていることにある。転職歴を増やしたくないと考える社員は、掲載内容と異なっていても渋々受け入れている。厚生労働省が人材サービス事業者にヒアリングを行ったところ、募集情報の取扱いについて、次のような回答があった。①審査を行う部門を設けて、募集情報の審査・管理を行っている②過大広告、虚偽をなくすためには、実地や電話での情報収集が重要③記載と実態の相違が悪質であればサービス利用停止もあり得る④クローリングした情報についても、事後的に法令違反等の精査を行っている⑤課金して利用している企業の募集情報であることがわかるように表示している⑥基本的には募集情報の内容は投稿した求人企業が負うこととなっている。このうち⑥は論外である。いかにも仲介責任の放棄ではないのか。人材紹介サイトや人材紹介会社の信頼性は、ある程度は求職者の間に出回っているが、主観に偏った情報も多い。第三者機関が基準を明確にしたうえで、評価結果を定期的に発表すればよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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