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上期の新社長、平均56・5歳

日本経済新聞社がまとめた主要企業の社長交代調査によると、2021年上期(1~6月)は前年同期より25社多い624社で新社長が就任した。平均年齢は56.50歳と、前年から0.58歳若返った。60代の比率は約34%と調査を遡れる2003年以降で最低だった。新型コロナウイルス禍からの反転攻勢を若い経営者に託す様子がうかがえる。調査対象は上場企業と非上場の大手企業で、銀行の頭取交代も含む。新社長を年代別に見ると、最も多いのは50代だった。前年よりも2・35ポイント高い49・60%を占めた。40代は2・14ポイント高い12・32%。一方、60代は3・40ポイント低い34・24%だった。コロナ禍では企業のデジタル対応力が問われている。経営者にはテクノロジーの知見や理解力が必須になっており、大企業であっても感性の若い40代に経営のバトンを渡す事例が目立つ。リクルートホールディングスは出木場久征氏(46)が新社長に就いた。米インディードの買収を先導し、海外事業を拡大させた実績が決め手だ。情報誌「ホットペッパー」などメディア事業がコロナ禍の打撃を受ける中での就任となった。

(日本経済新聞7月10日)

新社長の平均年齢は若返ったが、社長全体の平均年齢は上昇している。やはり高齢化が影響しているのだろうか。帝国データバンクの調査(対象・94万社)によると、2021年1月時点で平均年齢は60.1歳で、前年比で0.2歳上昇した。調査開始の1990年以降で初めて60歳を上回った。業種別にみると「不動産業」が最も高く62.2歳。「製造業」(61.3 歳)、「卸売業」(61.0 歳)、「小売業」(60.2 歳)も平均年齢を上回ったが、業種別の差異は業歴にも関係しているのかもしれない。業歴別では「30年以上」が全体の平均年齢を上回り、「30~50年未満」は63.1歳、「50~100年未満」は62.4歳、「100年以上」は62.2歳だった。一方、「10年未満」は50.2歳と格段に若い。業歴の長い企業ほど後継者問題が片付かず、高齢者の社長が奮闘している状況が浮かび上がってくる。社長を交代するタイミングは一概には示せないが、次期社長をサポートしながら第一線を走れる体力・気力・判断力が残っている時期がよい。多くの社長は元気なうちは引退を拒否したがるものだが、生身の人間である限り、いずれ体力・気力・判断力は低下していく。世代交代の判断が鈍ると、社長ポストに執着するようになるので要注意である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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