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大手企業の夏ボーナス、昨夏より7・28%減…減少率は過去2番目

経団連は25日、大手企業の夏のボーナス(賞与・一時金)妥結額の第1回集計を発表した。回答した104社の平均支給額は84万1150円で、昨夏より7・28%減少した。
 コロナ禍で多くの企業で業績が悪化。第1回集計としては、減少率は比較可能な1981年以降で、リーマン・ショック後の2009年(19・39%減)に次いで過去2番目に大きかった。金額は2012年(77万2780円)以来、9年ぶりの低さだった。
 回答があった15業種のうち、自動車(10・76%減)や造船(7・16%減)など10業種で昨夏を下回った。 非製造業は13・46%減(83万2485円)となり、減少率は製造・非製造の集計を始めた97年以降で最も大きかった。製造業は84万2115円で6・52%減だった。
 最終集計は7月下旬に発表する予定。経団連は「最終集計も昨夏より下がる可能性がある」としている。
(読売新聞オンライン 6月25日)

大手企業の夏のボーナス支給額が昨年夏から7・28%減少したとはいえ、平均支給額は84万1150円である。中小企業の平均支給額はどのぐらいなのか。
大阪シティ信用金庫が取引先企業(大阪府内)に対して調査したところ(有効回答数:1071 社)、支給する企業は 52.0%で、昨年夏に比べて1.6 ポイント増加した。1人当たりの平均支給予定額は 28 万 2,714 円で、昨年夏に比べ 3,768 円、1.4%増加する見込みである。支給額は経団連が調査した大手企業の約3分の1だ。
支給予定額の増加要因(複数回答)としては、「従業員の士気高揚」が76.2%と最も多く、次が「業績が好調なため」の 58.7%だった。
 一方、支給しない企業は48.0%で、内訳は「ボーナスは支給できないが、少額の手当を出す」が33.1%で、「全く支給なし」が14.9%だった。
 業種別では、支給する企業割合は、昨年夏と比べて、建設業を除くすべての業種で増加した。ただ、飲食店を含む小売業では、緊急事態宣言等に伴う業績悪化を反映して、「全く支給なし」が48.7%に達した。
 ボーナスの減少は貯蓄志向を一層高めていくだろう。日銀が発表した資金循環統計によると、2020年度末の個人(家計部門)の金融資産残高は前年度末比7.1%増の1946兆円。過去最高を更新した。株価上昇で株式や投資信託の残高が増えたことや、将来への不安で消費が抑制され、現預金が増えたことが大きいという。
 21年度末の個人金融資産残高も引き続き過去最高を更新するのではないだろか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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