Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

JR東、7月から社員を1日あたり200人一時帰休に

 JR東日本は16日、7月1日から9月末までの3か月間、社員の一時帰休を実施すると発表した。旧国鉄の分割民営化後、同社が一時帰休を行うのは初めて。 国の雇用調整助成金の制度を活用し、休業する社員の給料は維持する。数億円の業績改善効果を見込む。
 本社の事務、企画部門の約1800人を対象に、1日あたり約200人規模で実施する。運転士や乗務員など駅業務に携わる社員は対象外で、運行ダイヤに影響はないという。JR東は「東京五輪・パラリンピックに伴う需要が想定禍より少なく、業務内容の見直しで仕事量も減っており、雇用維持のために必要と判断した」と説明している。
 コロナ禍による経営悪化を受けて、JR東以外のJR旅客各社はすでに一時帰休を実施している。JR東も社員に休業を命じることができるよう、就業規則を改正していた。
(読売新聞オンライン 6月16日)

 JR東日本の2020年度期末決算は連結で5779億円の赤字だった。今年の春闘では8年ぶりにベースアップも見送り、夏の賞与は2.0ヶ月分で、1987年のJR発足以来過最低の水準となる。昨年夏は2.4カ月分に5000円を定額加算した額だったので、厳しい結果になった。
 鉄道事業は人流が回復しない限り、業績も回復しない。コロナが収束しても、リモートワークが全て出勤に切り替えられることは考えられない。リモートワークはコロナ対策から新しい働き方へと移行した。
地方に転居してリモートワークに切り替えた人が、毎日都心への出勤を強いられたら、ふたたび通勤圏内に転居するのか、あるいは通勤圏内に別居して二重生活を送るのか。いずれも現実的ではない。これからはリモートワークと出勤が併用されていく。
 鉄道利用は回復するものの、コロナ前の水準には戻らない。利用者の働き方が変われば、サービス提供者の稼ぎ方も変わるが、新事業はそう簡単に軌道に乗るものではない。しばらくはコストダウンで凌ぐのだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。