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住友生命、30代前半を管理職に

住友生命保険は30代前半の若手を管理職に起用する。ベンチャー出資やESG(環境・社会・企業統治)といったプロジェクトに対応するチームをつくり、そのトップには新設する「タスクフォースマネージャー」が就く。部長や室長(課長に相当)は40代前半以降に就くのが通例で、年齢や組織の壁にとらわれず、人材を活用する。
7月2日にタスクフォースマネージャーを新設する。タスク長は管理職で、室長と同じ権限を持つ。専門性や能力のある若手や女性を積極的に登用する。当初は5人から始め、将来的には数十人規模を任命する方針だ。組織を持たないため室長などが担う事務作業も担う必要がなく、課題に集中できる。
プロジェクトチームやタスク長は常設ではなく、タスク(課題)を達成すると解散する。
(日本経済新聞 6月15日)

住友生命は4月から社長直轄の「人財共育本部」を立ち上げた。新しい価値を創造できる「人財」づくりに向けた中長期的な戦略の検討を開始して、「人財共育」をベースに多様な人財の活用を図るという。
ためらいなく転職や企業に踏み切る時勢を踏まえると、若手への権限移譲は不可欠の人事である。40代まで管理職に就けなければ勤労意欲が萎えてしまい、能力もさびついてしまう。会社にとっては宝の持ち腐れである。プロジェクト業務はどんどん若手に任せたほうがよい。将来を見据えた経営人材の育成に向けてもリーダー経験は役に立つ。
ただ、この記事には「30代前半の若手」と書かれているが、いまの時代、この年齢は若手だろうか。住友生命にとっては若手なのかもしれないが、ふた昔前には、大手企業でも30代は中堅層の入り口だった。いまでは中堅社員の年齢で、管理職の就任に十分に耐えうる。社会人経験が10年もあれば子会社の役員も務まるだろう。
むしろ30代前半で中堅を担えない社員は能力にバツ印を付けられ、早々に巻き返しを図らないと、40代に入ったら居場所の確保が危うくなってしまう。30代前半での管理職抜擢はけっして早くはない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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