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ベトナム大手5社の実習生、受け入れ停止へ 失踪多数で

 技能実習制度を監督するため国が設けた認可法人・外国人技能実習機構(OTIT)が、ベトナムの大手送り出し機関5社からの実習生の新規受け入れを停止する方針を、ベトナム政府に文書で伝えたことがわかった。5社が日本に送り出した実習生の中から、多数の失踪者が出たことが理由とされている。
 朝日新聞が入手した文書によると、OTITは1日付で、技能実習生を所管するベトナムの労働・傷病兵・社会問題省の海外労働管理局(DOLAB)に通知。近くこの方針を公表した後、2カ月後をめどに実行すると説明している。
 ベトナムの送り出し機関は政府の認可に基づいて日本に実習生を送り出す人材派遣会社。6月現在で約460社ある。
 文書によると、OTITはDOLABから、送り出し機関の派遣者数(2018年)のデータ提供を受けた。日本の受け入れ企業から提出される各実習生の実習計画に記載された送り出し機関の名前と突き合わせて、失踪者が多発している送り出し機関を特定。その上で、18年と19年の合計の失踪者数の割合が平均の約3倍を超えた5社を対象に決めた。
(朝日新聞デジタル 6月13日)

 技能実習法第25条には、外国の送り出し機関の要件が記載されている。
 ①所在する国又は地域の公的機関から推薦を受けている②制度の趣旨を理解して候補者を適切に選定し、送り出す③技能実習生等から徴収する手数料等の算出基準を明確に定めて公表し、技能実習生に明示して十分理解させる④技能実習修了者(帰国生)に就職の斡旋等必要な支援を行う⑤法務大臣、厚労大臣又は外国人技能実習機構からのフォローアップ調査、技能実習生の保護に関する要請などに応じる⑥当該送出機関又はその役員が、日本又は所在国の法令違反で禁錮以上の刑に処せられ、刑執行後5年を経過しない者でない――など。
 かなり厳格に規定されているが、日本側に権限があるのは、要件に抵触した送り出し機関からの受け入れ停止で、送出機関の資格停止には及ばない。
 NHKでベトナムの送り出し機関と日本の監理団体にインタビューを行っていたが、キックバックなどの闇行為は相変わらずつづいているようだ。ごく一部の悪弊に過ぎないのか、結構な割合で行なわれているのかは不明だが、インタビューに応じていた監理団体関係者は改める意向はないことを発言していた。
外国人技能実習機構が送り出し機関5社からの受け入れを停止したが、この措置が抑止力になるのかどうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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