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セブン&アイ、女性の執行役員3割に

セブン&アイ・ホールディングスとセブン―イレブン・ジャパンなど傘下の5社は、2026年2月期までに現在は約1割にとどまる執行役員の女性比率を3割に高める。女性幹部の比率を高め、増加している女性客に支持される店舗づくりを進めて新たな成長につなげる狙いだ。
女性に支持される店舗のレイアウトや品ぞろえの拡充は喫緊の課題となっている。中核のコンビニ事業では03年に35%だった女性客比率が19年には42%まで上昇。新型コロナウイルスの影響で高まったまとめ買い需要の主役も女性役とみられる。
一方、社員の女性比率も高まっている。セブン&アイグループでは全社の女性比率は3割ほどだが、新入社員にかぎると45%を占める。
目標達成に向けてグループ横断で管理職候補の女性社員セミナーを毎月開くほか、現任社員が女性幹部候補をサポートする制度を検討するなどキャリアアップの仕組み作りを急ぐ。達成状況の毎年公表に加え、企業の女性役員比率の向上を目指して企業などが集まる「30%クラブ・ジャパン」へ加入し、目標倒れにならないように務める。
経団連は30年までに役員らに占める女性比率を30%に引き上げる目標を掲げている中、セブン&アイは4~5年前倒しでの達成を目指す。
(日本経済新聞 5月26日)

10年以上前だが、当時はコンビニエンスストアの店頭に並ぶ弁当や総菜に、健康志向の商品が目立つようになった印象をもったことがある。それまでは揚げ物をメインにした商品が多かったように思う。
この印象をコンビニ商品の売れ筋分析が専門のコンサルタントにぶつけた。コンサルタントは大手スーパーの食品バイヤーを経て、コンビニオーナーとして2店舗を経営した経験をもっていた。
「揚げ物が多かったのは日持ちしやすいからですか?」と聞いたら、コンサルタントは「もっと単純な理由ですよ」と断言した。
「長年にわたって商品開発担当部門の幹部が男性で占められていたからです。女性社員が野菜を多く使った健康志向の商品を提案しても、決定する幹部たちが男性だったので揚げ物が多くなっていたのです。マーケティングデータや消費者グループインタビューなどによって健康志向の商品が求められていると理解できても、最終的には自分の好みに引きずられて判断してしまう。それが味覚のもつ習性です」
 コンサルタントはつづけた。
「中年男性は脂っこい料理が好きでしょう?だから揚げ物を使った商品が多かったというのが背景です」
 10年以上前には、こんな舞台裏もあったのだという。
女性の経営幹部を増やす人事は時代の要請だけでなく、損得勘定においても得なのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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