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国家公務員の年収、民間の1.4倍

国家公務員と会社員は年収の水準がどれほど違うのか。全体の平均年収でみると会社員は1990年代後半から落ち込んで元の水準まで回復していない。国家公務員は緩やかな上昇基調にある。一方で幹部を比べると、事務次官の年収は東証1部上場企業の社長の半分に満たない。
(中略)
 2019年の国家公務員の平均年収は630万円となった。民間企業の会社員は平均436万円で、男性が540万円、女性は296万円だった。国家公務員の年収は会社員の1・4倍という計算になる。
(中略)
 キャリア官僚の出世レースのゴールは事務次官で、一般に同期でも1人がなれるかどうかだ。事務次官の年収は19年度で2347万円だった。
 デロイトトーマツグループの調査によると、東証1部上場企業の社長は年収の中央値が5551万円となっている。事務次官の2倍を超える水準だ。専務や常務でない「ヒラ取締役」は2160万円で、次官とほぼ並ぶ。幹部官僚の給与は民間より低く抑えられている。
(日本経済新聞 5月19日)

 国家公務員の給与は高いのか、低いのか。国家公務員の同級生が勤務する大手企業や外資系企業に比べれば低いが、中小企業に比べれば高い。統計の上では民間企業の平均よりは高い。だが民間平均よりも高いとはいえ、過労死水準に達する残業時間を踏まえれば低い――結論が出ない問題である。
 一般に国家公務員も地方公務員も、生活水準は金満でもなく貧困でもない。おおむね中程度である。業務評価によって給与がダウンすることもなく、一方で大幅にアップすることもない。リストラもない。民間企業の給与は40代後半で頭打ちとなって以降は下がり続けるが、公務員の給与は伸びこそ止まるが、下がることはない。
公務員は贅沢さえ慎めば定年退職まで安定して勤務できる。この現状をどう評価するかは金銭観次第で、良し悪しの問題ではない。
 一方、事務次官の給与だが、省庁の社長は大臣だから事務次官の年収を民間と比べるなら、専務や常務と比べるべきだが、ほぼ同水準ではないのか。定年後の処遇なら事務次官のほうが恵まれている。引く手あまたで、年収が現職時代を上回る例も少なくない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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