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公務員、女性登用道半ば 次長や局長ら、わずか4.4%

国家公務員の総合職をめざす女性の割合が増えている。人事院が4月発表した2021年度の国家公務員採用に関する総合職試験の申し込み状況によると、女性は5772人で全体の40.3%となった。4割を超えたのは初めてになる。
「キャリア官僚」と呼ばれる総合職で採用されれば、政策立案などに携わる将来の幹部候補として扱われる。男性を含む総合職の志願者の総数が減ったことも女性比率を押し上げた面がある。
内閣人事局.によると、総合職試験からの採用者に占める女性の割合は20年4月1日付で35・4%で過去最高になった。政府は20年末に決めた第5次男女共同参画基本計画で、毎年度35%以上を達成すると記した。
(中略)
 世界経済フォーラム(WEF)が3月公表した男女平等の度合いを示すランキング「ジェンダー・ギャップ指数」で日本は120位。前回(121位)に引き続き、主要7カ国(G7)で最下位だった。
(日本経済新聞 5月18日)

 熊本日日新聞(3月9日付)は熊本県内の女性管理職に就いて、次のように報じた。
<熊本県内でも県職員や民間事業所の女性管理職はこの10年で増加した。ただ、その割合は全体の3割弱にとどまり、県男女共同参画計画の目標値を下回っている。女性議員の割合は1割に満たず、県内の女性登用は道半ばの状態だ>
 ただ「道半ば」とはいえ、目標値にかなり迫っている。
<県知事部局の係長級以上の女性職員割合は20年度で23・4%。11年度の16・2%から7・2ポイント伸びたが、県の第4次男女共同参画計画(16~20年度)が掲げた目標値(24・6%)に届かなかった>(同紙)
 公務員の人事が外資系企業やベンチャー企業のような仕組みなら、すでに政府目標をゆうに上回る数値に達しているはずだ。30代で部長、40代で局長に就く女性職員も登場しているだろう。
だが、公務員の昇進は入職年次に連動している。この人事制度が続く限り、女性管理職の増加は早期には期待できない。まして前例踏襲が行政機構の文化で、異例は排除の対象となる。女性管理職比率が国際ランキングの上位に届くまでは時間がかかる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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