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今春大卒の就職率96% 過去2番目の下落幅、コロナで採用抑制 厚労・文科省

厚生労働省と文部科学省が18日まとめた2021年3月卒業の大学生の就職率(4月1日現在)は96.0%となり、前年同時期に比べ2.0ポイント低下した。1997年に調査を開始して以来、リーマン・ショック後の10年卒(3.9ポイント低下)に次ぐ過去2番目の下落幅を記録。新型コロナウイルス感染拡大が直撃した観光・航空業界などの企業が新卒採用を抑制し、希望する職種に就けない学生が増えた
 21年卒の就職活動は新型コロナ流行の時期と重なった。企業説明会の中止などで情報収集の機会が減り、内定獲得を目指す学生への影響が深刻化した。厚労省の担当者は、昨年10月時点の内定率(7.0ポイント低下の69.8%)と比べて減少幅が縮小し、一定の水準まで上昇したと評価しつつも、未就職のまま卒業した人には「きめ細かな支援を行いたい」と語った。
(時事通信 5月18日)

 今春大卒の就職率が過去2番目の下落幅に陥ったことは、GDPの推移と符合している。
 2020年度のGDPが前年度比マイナス4.6%で、1995年以降で最大の下落幅となり、リーマン・ショックを上回った。今年1~3月のGDPを年率換算すると、前3カ月に比べてマイナス5.1%。3期ぶりのマイナスとなった。
 新型コロナウイルス感染症は歴史的な経済危機として記録されるだろうが、緊急事態宣言の延長で回復の目途は見通せない。ワクチン接種の効果がどう現われるのかはともかく、事業モデルを改革しない限り展望が開けない。
多くの企業が模索しているが、事業の成否は当たるも八卦当たらぬも八卦である。AI、IoT、暗号資産、再生エネルギーなど成長分野のキーワードが喧伝されているが、波に乗れる企業は限られている。
当面の焦点は雇用調整助成金の期限切れである。特例措置が適用されて6月末まで延長されたが、7月以降は雇用を維持できず、大量の失業者が発生する。就職先が決まらずに卒業した人たちは、たとえ意に沿わない業種でも就職して、まずは社会人に移行することだが、くれぐれもブラック企業に入社しないように情報収集に注力してほしい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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