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製造業の半数が人手不足に 3月日銀短観

製造業で再び人手不足感が強まりつつある。日銀が2日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)の詳細によると、全規模ベースでは製造業の半数で人員が「過剰」な状態から「不足」の状態に転じた。海外人材の受け入れが難しい現状では労働力不足が日本経済の重荷になりかねない。宿泊・飲食が人手余剰に転じるなど、雇用状況のばらつきも増している。
人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」の割合を引いた雇用人員判断(DI)は低下すると人手不足感が強いことを示す、(中略)新型コロナ禍による経済の落ち込みから回復し、生産が急拡大しているため人手不足感が増している。製造業では中小企業でも雇用人員判断DIがプラス5からマイナス3に低下するなど、企業規模にかかわらず人手不足が進んでいる。
一方、構造的な人手不足が続いている非製造業だが、宿泊・飲食サービスは新型コロナの影響で前回のマイナス3から今回はプラス23と、大幅な人手過剰に転じた。
(日本経済新聞 4月3日)

異業種間の労働移動施策として、航空会社などの在籍型出向人事が話題を呼んでいる。在籍型出向を仲介している公益財団法人産業雇用安定センターは、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に人員過剰となった企業が雇用を守るために、人手不足の企業との間で雇用シェア(在籍型出向制度)を活用した出向支援を無料で行っている。
 同センターのサイトによると、仲介実績には①一般貸切自動車運送業(観光バス)から一般貨物運送業(トラック運送)②旅館・ホテルから病院(来院者案内、調理)③レストランからスーパーマーケット④菓子等の製造販売業から観光産業の振興を目的とする法人(企画部門)⑤情報ビジネスサービスから冷凍食品加工業(機械オペレーション)―などがある。
在籍型出向を行う企業は雇用調整助成金の支給対象になっている。余剰人員を抱えている企業は、解雇を検討する前に、まずは産業雇用安定センターに相談してみたらどうだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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