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JAL客室乗務員を区職員に 江戸川区

東京都江戸川区は24日、新型コロナウイルスの影響でフライトの搭乗回数が減った日本航空の客室乗務員35人を区職員として採用すると発表した。期間は4月1日から半年~1年間。  
区では、マイナンバー制度の普及や促進などで即戦力になる人材を求めていた。コロナ禍で社員を企業や自治体に出向させている日航に相談して実現したという。  
35人のうち、30人は4月に新設されるマイナンバー推進課に配属。他にSDGs推進課や、広報課、秘書課などで採用する。  
いずれも、日航に在籍しながら出向する「在籍型出向」で、週4日程度、区で勤務し、1日程度を客室乗務員として搭乗することを想定している。  
区職員課の笠貴裕課長は「国際感覚があり、接遇にも秀でた客室乗務員と一緒に働くことで、区民サービスの向上や、区職員の意識改革につなげたい」と話した。
(産経新聞 3月24日)

JALやANAの客室乗務員が異業種への出向人事がつづくのは、たぶんブランド人材だからである。たしかにコミュニケーション能力に長け、瞬時の状況判断も訓練されていて、受け入れ先にとっては欲しい人材なのだろう。
だが、コロナ失業で求職中の女性にも、区役所業務に適性のある人はいくらでもいるはずだ。この記事に限らず、JALやANAからの出向のニュースに触れるたびに(世の中は不公平だ)と嘆息するかもしれない。
労働市場での評価基準は、何ができるかよりも、むしろどこに勤務したかである。勤務先のランクで人材のランクも決まる。スキルの化粧はいくらでもできる。実際に雇用してみないとスキルを判定できなく、良し悪しはともかく、勤務先のランクで評価せざるを得ない。だから出向要請が入るのは大手企業に限られてしまう。
転職でも事情は同じである。大手企業勤で管理職を経験していればブランド人材とみなされる。勤務先の看板を外せば成果を出せない求職者も、採用前には輝いて見えるものだ。
つくづくブランドは侮れない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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