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NEC、管理職の成果主義強める

NECは2022年3月期から、課長職以上の管理職を対象に成果主義を強めた新しい人事評価制度を導入する。これまで横並びの色合いが濃く報酬に大きな差が生まれにくかった。メリハリのある考課や報酬で仕事への意欲を高める。職務を明確にして働く「ジョブ型」人事制度を一部専門職などで適用しているが、評価制度の見直しで対象を広げる。
全社員の3割に当たる約6千人の管理職で新評価制度を適用。管理職は1年間の業務の目標を示した「コミットメントシート」を提出し、期末に成果や達成度合いを厳しく評価する。これまで半期ごとに評価をしていたが、報酬に反映する成果の割合が少なかった。
NECは19年3月期に執行役員の人事評価制度で業績連動以外に個人間でも報酬などに差が生じる成果主義を導入した。今後は課長以上にも対象を広げ、将来的にはグループ会社を含む全社員に広げていく考えだ。
NECは人工知能(AI)やデータサイエンスといった高度な専門性を持つ人材を中心にジョブ型雇用を導入しており、21年4月からは新卒でもジョブ型採用を始める。
(日本経済新聞 3月19日)

年収情報サイト「年収ランキング」によると、NECの平均年齢は43,4歳、平均年収は799万円。役職ごとの年収は「主任の平均年収は約670万円〜900万円、係長は約750万円〜950万円、課長は約600万円〜1250万円、部長は約900万円〜1500万円」という。
飛びぬけた高給ではないが、水準以上の生活ができる金額である。40代半ばになれば、社員としてのゴールも見えてくるから、いまの賃金体系で残された期間を安定的に送りたいと思っているかもしれない。
実際、多少の成果が反映されても、ほぼ年功賃金をベースとした賃金制度のもとで40代まで過ごしてきた社員が、いきなり成果主義の比重を高められたら面食らうに違いない。教育費や住宅費などの負担がのしかかってくる年齢にあっては、収入ダウンは大きな痛手である。
そもそも年功賃金から成果主義への転換は、総人件費の圧縮を目的とした施策である。だが、いまや成果主義は在るべき賃金施策として定着した。成果主義に対応できるスキルを身につけてこなかった中高年社員には、ツケが廻ってきたのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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