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就職内定率が10年ぶり悪化 今春大卒、コロナで一転 2月時点

厚生労働省と文部科学省が19日まとめた今春卒業見込みの大学生の就職内定率(2月1日現在)は89.5%となり、前年同時期を2.8ポイント下回った。  
近年は学生優位の「売り手市場」が続いていたが、新型コロナウイルス感染症が直撃した航空業界などの採用抑制が響き、2011年以来10年ぶりに悪化した。  
前年との差は、昨年12月1日時点の前回集計に続いて縮まっており、厚労省の担当者は「企業は新型コロナによる採用活動の遅れを取り戻しつつある」と指摘した。ただ、足元では1月に再発令された緊急事態宣言で打撃を受けた企業もあり、最終的に近年並みの90%台後半に届くかは不透明だ。  
内定率は男子が88.1%で、女子が91.2%。学部別では、不況に強いとされる理系が92.1%となり、文系の88.9%を上回った。大学の所在地別で見ると、中国・四国が前年よりわずかに改善、他の5地域は悪化した。  
今春卒業の学生の就職活動は、新型コロナの感染拡大を受けた企業説明会の中止やオンライン面接への移行で混乱。企業は採用スケジュールの先送りを余儀なくされた。外出自粛で苦境に陥った航空・旅行業界では新卒の採用活動中止が相次いだ。
(時事通信 3月19日)

人気企業ランキングを見ると、コロナ禍で人気業種は入れ替わっても、やはり大企業志向がつづいていることには変わりない。だが、安定志向による“寄らば大樹の陰”とは違うのかもしれない。
先輩諸氏には20代でステップアップ目的の転職に踏み切った人も散見されるはずで、転職時には「〇〇出身」という勤務先のブランドが、労働市場で値打ちをもつことも聞き及んでいるだろう。
大企業から中堅・中小企業へと人材は流れても、中堅・中小企業から大企業へと人材が流れることはきわめて稀である。中堅・中小企業の社員は大企業の社員よりも劣ってはいないのだが、企業のブランド価値はおおむね規模で決まる。売上高、利益、社員数などでランキングされる。
例外はコンサルティング会社で、メーカー、金融機関、流通企業に比べて小規模だが、
社員にはビジネスノウハウを熟知しているというイメージが付与されるため、労働市場での価値は高い。とくに外資系に勤務すれば、ブランド人材への切符を入手できる。
こうした現実を踏まえて、自分の市場価値を高められる企業を選ぶ学生が増えれば、雇い入れる企業側も、社員の価値向上に注力せざるを得ない。”人材の宝庫”と評価されるようになれば業績にも反映される。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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