Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

ワタミ、労基署から是正勧告 宅食で協定超える残業

ワタミは17日までに、弁当などを届ける宅食事業で労使協定で定める上限を超える時間外労働があったとして、高崎労働基準監督署(群馬県高崎市)から是正勧告を受けたことを明らかにした。勧告は15日付。同社は「真摯(しんし)に受け止め、全社を挙げて再発防止に努める」とのコメントを出した。  
昨年9月に同事業の社員(休職中)に残業代の未払いがあったと是正勧告を受け、この社員の過去2年分の労働実態を調べた結果、昨年3月の残業が労使協定(36協定)の上限75時間を29分超えていたと判明した。  
同社員の実際の労働時間や未払い賃金については、両者で交渉を続けている。  
ワタミは再発防止に向け、勤怠システムの改修などの対策を講じたという。
(時事通信 3月17日)

是正勧告を受けて、ワタミは業務改革委員会を設置して、再発防止と労働環境の改善に着手したと発表した。
発表した施策は①2020 年 10 月下旬、業務用スマートフォンによる打刻システム導入、打刻者本人による修正ができないシステムに改修②当月分の勤怠記録を本人及び上司が確認するとともに、内部監査室がこれを監査する運用を開始③業務用スマートフォンの持ち帰り禁止 ・営業所の営業時間外における問合せ窓口の設置 ④全国の従業員向けにオンライン、オフライン研修会を 2 回実施済 ・労働時間に関する問い合わせ窓口の設置。
これまでも再発防止策を講じてきたのだろうが、ワタミには労務コンプライアンスが鬼門であるかのように、たびたび問題が発生する。再発防止策が機能していないのだ。
ホームページには、こんな一文もある。
<ワタミグループは、企業としての社会的責任を果たすべく、「企業倫理の確保」と「順法精神の醸成」を最も重要な活動として位置づけ、社内への浸透に取り組んでいます>
このように表明せざる得ないほど、内実は倫理や順法精神が希薄なのか。疑念を禁じ得ない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。