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青山商事の希望退職は609人募集400人の1・5倍、コロナで業績悪化

紳士服販売の青山商事(福山市)は22日、5月末で609人が希望退職すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化を受け、創業以来初めて希望退職を募り、募集人数の1・5倍になった。希望退職は昨年12月14日から今月19日まで400人程度を募った。対象は3月末時点で勤続5年以上になる40歳以上63歳未満の正社員と無期契約社員で、計約1500人。応募人数は明らかにしていない。609人は青山商事単体の正社員数の約15%に当たる。青山商事は「募集人数を上回ったが、人員適正化ができる範囲内で経営体制に影響はない。新卒の採用も継続する」と説明する。希望退職者には割り増しで退職金を支払い、要望に応じて再就職を支援する。青山商事は2021年3月期の業績予想で、292億円の純損失と創業以来最大の赤字を見込
む。コロナ禍に加え、働く人のカジュアル化の逆風も受け、19~21年度の3年間で160店程度の閉店も進めている。ビジネスウエア事業では、24年3月期までに約400店で店舗の売り場の縮小や空きスペースの活用を進める方針でいる。(中国新聞デジタル2月22日)

「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングのステートメントは「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」。ミッションは「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」。「『本当に良い服』とは、従来からの服が持つ価値観から抜け出した『新しい価値を持つ服』でなければならないのです」ステートメントとミッションがアパレル市場を席捲し、ビジネススーツは駆逐こそされないが、片隅に追いやられようとしている。就活ルックも、カジュアル化に向かうかどうかはともかく、上下が黒で、靴もバッグも黒という慣行は消えるに違いない。ましてオンライン面接なら黒づくめで固める必要はない。募集人員の1.5倍の社員が希望退職に応募したことは、コロナ収束後もビジネススーツ市場の回復を期待できない――多くの社員がそう確信しているからではないのか。自社の盛衰は社員がもっとも的確に認識しているものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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