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ハローワーク職員1万人以上、雇い止めの可能性「相談乗った翌日から失業者」

全国のハローワークの職員の7割を占める非正規職員が年度末に大量雇い止めになる可能性が高いとして、非正規職員の有志グループが15日、雇用形態の改善を求める要請書を2万2千筆の署名とともに厚生労働省に提出した。要請書によると、各地の労働局やハローワークを含む厚生労働省の非正規職員は2万7千人を超える。3年ごとに公募採用が繰り替えされるため、今年度末もハローワークの窓口で労働相談に乗っている1万人以上が雇い止めされる可能性があるという。要請書は、労働行政の基幹業務を担っている職員の雇用の安定や更新採用プロセスの透明性の確保などを求めている。有志グループは「3月31日まで求職者の相談に乗り、翌日からは失業者として求職カウンターに並ぶことになりかねない。ブラックジョークのような実態を当局は直視し、改善してほしい」としている。(京都新聞2月15日)

15年ぐらい前にさかのぼるが、都内のハローワークで相談員を取材した。相談員は大手企業の人事部出身で、キャリアカウンセラーの資格をもっていた。求職者の相談に乗りながらも「いまは相談カウンターの内側にいるが、雇用期間を終える来年は、カウンターの外側で相談の順番待ちをしているかもしれない」と心中を明かしてくれた。ハローワークに務めていれば、自身にマッチした求人情報をいち早く入手できるという利点もあるのではないのか。そう尋ねたら「確かにそうかもしれないが、50歳を過ぎたキャリアカウンセラーを雇ってくれる会社などない」と一蹴された。リーマン・ショック直後に廃業した人材紹介会社の社長は「人材紹介会社の社長が失業していたらシャレにならない」と苦笑いしていた。この2人がどんな仕事に就いたのかは分からない。求職者は自身の就労不安を抱えているキャリアカウンセラーに相談しているとは思わないだろうし、遠からず廃業して失業者になる社長に就職先の紹介を依頼しているとも思わないだろう。実情を知れば相談先や依頼先を変更するに違いない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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