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JT、スイスに「たばこ事業」本社機能を移転へ…希望退職1000人規模

日本たばこ産業(JT)は9日、落ち込みが続く国内たばこ事業で大規模なリストラと組織再編を実施すると発表した。東京都内にある同事業の本社機能をスイス・ジュネーブに移した上で、海外のたばこ事業と統合することが柱だ。同時に国内の正社員1000人規模の希望退職や福岡県内の2工場閉鎖を通じて、経営の効率化も図る。
 現在、主力のたばこ事業では、国内事業を東京都港区の本社で担当し、海外事業はジュネーブに拠点を置くグループ会社「JTインターナショナル(JTI)」が担っている。今回の再編では国内事業を2022年1月にJT本体から切り離してJTIの傘下に置く。国内の販売計画や商品開発を含めた経営戦略はJTIが主導する形となる。
 さらに国内に4か所ある生産拠点のうち、九州工場(福岡県)を22年3月に閉鎖し、子会社のフィルター工場も閉める。国内たばこ事業や本社部門に在籍する正社員約6500人のうち、15%に当たる1000人の希望退職を実施。営業活動を補佐するパート従業員も1600人の退職勧奨を行う。一連のリストラ策で370億円の費用を見込む。
(読売新聞オンライン 2月10日)

 相変わらず人員削減のニュースが続いているが、たんなる減量経営ではなく、事業構造の改革に動く例も散見される。
そのひとつ、コンビニエンスストアチェーンを運営するポプラ(広島市安佐北区)も2月9日、正社員330人の15%に当たる約50人の希望退職募集を発表した。
同社は、昨年9 月に株式会社ローソンと共同事業契約を締結し、新たな収益事業として「ローソン・ポプラ事業」を立ち上げて、既存のポプラ・生活彩家事業については、物流費の高騰やコロナ問 題などの環境変化に対応するため、「スマートストア事業」として収益構造の見直しを行うなど事業構造改革に取り組んでいる。
そこで北陸・中部地区からの事業撤退、営業拠点の整理統合、工場・センター機能の集約、本社への機能集中などを実施する。要員の適正化および人員効率向上を図るという。
近畿日本ツーリスト各社を傘下に持つKNT-CTホールディングスは2月9日、希望退職の募集に1376 名(パート社員等を含む)が応募したと発表した。旅行代理店業は平和産業といわれるが、店舗型からテック企業への転換にとどまらず、有事でも収益が上がる事業構造も模索するのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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