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コマツが選択定年制 60歳か65歳 シニア副業も解禁

コマツは4月から従業員が定年時期を決める選択定年制を導入する。従来一律60歳だった一般社員の定年年齢を60歳か65歳で選べる。60歳でいったん定年退職してパートタイム型の再雇用として働く場合には副業も認める。シニア層の価値観が多様化するなか、伝統企業でも社員の柔軟な働き方を受け入れる動きが広がってきた。 管理職の場合、62歳での定年も選択できるようになる。選んだ定年まで正社員として従来通りの人事賃金制度が適用される。定年年齢は55歳時点で社員が選び、59歳に最終決定する。会社側はこれまでの定年後のキャリアを考えさせるセミナーを50代の社員向けに開いていたが、40代に前倒しする。 健康や介護といった事情で時短勤務を希望するケースには60歳でいったん定年を迎えた後に再雇用で働くこともできる。 再雇用社員の賃金水準は2016年度時点では定年時の基本給の75%だったが、段階的に引き上げて4月から100%を保つ。ボーナスも支給対象だ。(日本経済新聞 2月8日)

雇用年齢の引き上げは社会保障費の抑制が理由だが、本人にとっては老後の生活設計も関わっている。老後は寿命が延びることで発生した時期ともいえる。寿命が短かった時代はどうだったのか。 漫画「サザエさん」に登場する磯野波平は、連載開始時の1951年に54歳だった。厚生労働省の「生命表」によると、51年の日本人の平均寿命は男性60.80歳、女性64.90歳。当時の定年退職年齢は55歳だから、仕事を辞めて5年後に亡くなるのが平均的なパターンで、老後という概念もなかった。  いまの時代に老後を消し去るには、平均寿命から5年を差し引くと、男性なら75歳まで働く必要があるが、この年齢には差し迫った事情も潜んでいる。住宅金融支援機構の2020年度利用者の完済計画年齢は平均73歳。借入時年齢が40代に上がったため、70歳を過ぎても返済を続ける利用者が多いのだ。この層は完済まで働くだろう。 医学の進歩でさらに寿命が延びて老後が拡大すれば、就業年齢も上がっていく。75歳を超えたフルタイム労働が珍しくなくなる日は、そう遠くはない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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