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日産、契約社員800人弱を正社員に…収束後を見据え優秀な人材確保

日産自動車は18日、国内の主な拠点で事務職として勤務する全契約社員800人弱を、4月1日付で正社員に登用する方針を明らかにした。職場の一体感や契約社員の士気の向上につなげて、構造改革を加速させたい考えだ。
対象は横浜市の本社などで働く事務職の契約社員で、工場の期間従業員は含まない。
日産は、かつての拡大路線からの転換を進めており、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って販売が一時、落ち込んだことも重なって、2021年3月期の最終利益は6150億円の赤字を見込んでいる。
だが、米国や中国などでは需要が上向いている。新型コロナウイルスの収束後も見据え、待遇を改善して優秀な人材を確保する必要があると判断した。
(読売新聞オンライン 1月18日)

コロナ禍でリストラのニュースがつづくなかで、日産自動車が全契約社員800人を正社員に登用する人事は明るいニュースだ。ただ、正社員に登用される800人は本社などで働く事務職で、工場の期間従業員は対象外である。現業部門の雇用が不安定であることに変わりない。
一方、産業界全体ではリーマン・ショック直後にはおよばないものの、雇用情勢は一段と悪化しそうだ。
東京商工リサーチによると、2020年に早期・希望退職募集を開示した上場企業は前年比2.6倍の93社。募集人数は、判明した80社で1万8635人だった。今後の見通しはどうなのだろうか。
東京商工リサーチは次のように述べている。
「2021年はすでに22社の実施が判明しており、年度末に向け、新型コロナの影響が大きいBtoC業種を中心に募集企業が高水準で推移するとみられる」
「2020年はアパレル・繊維と電気機器、広告など、新型コロナのあおりを受けた業種に集中。コロナ禍が長引くことで、2020年同様に年内に複数回の募集に踏み切る企業や2年連続で募集を行うケースが増勢する懸念がある」
雇用調整助成金措置が終了したタイミングで、早期・希望退職は噴き出すように増えていくのではないだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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