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河野大臣、テレワークの虚偽報告に「処分の対象となり得る」と警告

河野太郎行政・規制改革担当相は1月12日のオンライン会見で、各省庁の職員がテレワークの虚偽報告をした場合は処分する方針を明らかにした。テレワーク実施率の報告のため、有給休暇を取得しておきながら出勤しているケースがあるという報告をTwitterで受けての対応とみられる。
河野氏は会見で、政府が発出した緊急事態宣言に伴い、霞が関でも7割の出勤抑制を各省庁に指示したと改めて説明。そうした中、有給休暇を取得しながら、登庁するケースを念頭に、「(テレワークの)数字のつじつまを合わせるために有給休暇を取得して登庁しているようなことがないように指示を出したい。発覚した際にはやった本人と、それを見逃した上司ともに処分の対象になり得る」と警告した。
発言の発端には、霞が関の職員を名乗る匿名のTwitterアカウントからの投稿があるとみられる。1月8日、匿名アカウントは「霞ヶ関でもテレワーク7割に伴い、課長補佐は有給休暇を取得しているが、なぜか本日も職場で働いている。毎週末のテレワーク実施率報告に向けた取り組みのようだ」と投稿。また、本人(課長補佐)が「『職場』は『家』だ」と答えたとし、「登庁することで、在宅ワーク率“100%”が担保される」とした。
(ITmedia NEWS 1月13日)

そもそも残業時間の虚偽申告を上司に強いられることは、日本企業の文化でもある。虚偽申告には2つのパターンがある。残業時間の過少申告と残業時間の過大申告だ。
過少申告の強要は部下の残業代を抑制し、サービス残業をさせてコスト削減に貢献するという上司の保身本能に由来する。経営層からの指示がなくとも、主体的にサービス残業を強いて会社への貢献ぶりをアピールする管理職は、働き方改革が喧伝されてもなお多いという。
もうひとつのパターンである過大申告は、見なし残業代を支給する会社に散見される。人件費が固定化されているのなら、できるだけ多く働かせたほうがオトクという考え方で、残業時間を過大に申告させるのだ。自分は部下にこれだけ働かせていると会社にアピールするのだ。
残業時間の虚偽申告は上司からのプレッシャーが主因である以上、上司を処分の対象にしなければ正常化は到底期待できない。その意味で、河野太郎大臣の方針は現実的である。民間企業にも必要な措置だが、管理職からの抵抗も多いはずだ。強力なリーダーシップが発揮されないと導入は難しいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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