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淡路島で週30時間働いて月額16万6000円 パソナ、緊急雇用「1000人」計画を発表

パソナグループは、2021年3月以降に卒業予定の未就労者(大学、大学院、短大、専門学校、高校)を対象に、キャリア形成プログラム「ギャップイヤープログラム」を提供すると発表した。コロナ禍の影響で働く場所を見つけられなかった若者に就労の機会を提供するとともに、ビジネスの基礎などを習得してもらうのが狙い。募集するのは1000人としている。
20年12月からオンライン説明会、筆記試験、適性検査、面談などを行う。プログラムが始まるのは21年4月で、パソナグループの契約社員として最長2年間就業する。働く場所は、同社が兵庫県淡路島で展開する施設。入社直後の業務は、農作物の販売・収穫、テーマパークのキャストとして接客、事務センターのオペレーションなどを想定している。入社から7カ月後には、パソナグループ各社に配属される。2年目には、「人事・アドミ・HR部門コース」と「ベンチャー・農業・アート・スポーツコース」のどちらかを選択する。プログラム終了後は、パソナグループ各社での勤務を含めた全国各地での就労・起業支援を行うとしている。
1週間で30時間のシフト勤務を行う。給与は大学院・大卒で16万6000円、短大・専門卒で16万1000円、高卒で15万6000円。さらに、仕事・キャリア・プライベートに関する悩みを相談できる「ワークライフファシリテーター」を配置し、サポートする。
(ITmedia ビジネスオンライン 12月16日)

給与額の多寡はともかく、パソナグループの「ギャップイヤープログラム」では、働きながら週に3日は「日本創生大学校」の提供する「社会人基礎講座(ビジネスマナー・語学など)」や「社会教養講座(政治・経済などの一般教養)」を受講できるという。
この取り組みは行政が教育訓練施設として運営する「大学校」にも似ている。収入を得ながらビジネス知識・スキルを修得できるのだから、求職者にはありがたいだろう。希望先の選考に漏れて、やむなく選んだ就職先になじめずに悶々と過ごし、ほどなく退職して就活をやり直すのは無駄である。
人材として伸びしろの大きい20代は有意義に過ごしたいが、就職先の選択にハズレが頻発するのはやむを得ない。ましてコロナ禍で採用減や採用中止に踏み切る企業は多いので、「ギャップイヤープログラム」の活用は有効ではないだろうか。
このプログラムを活用すれば社会人として一定の力を身に着けるだろうから、パソナグループにとっても、有効な人材供給元になり得る。
パソナグループは淡路島で農場やエンターテイメントアニメパークなどを開設するなど地方創生に取り組み、ついに本社も淡路島に移転した。話題に事欠かない企業である。「ギャップイヤープログラム」にも、先進的な事業センスが見え隠れしている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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