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10月の失業率、3.1%に悪化 有効求人倍率は微増

総務省が1日に発表した10月の完全失業率(季節調整値)は3・1%で、前月より0・1ポイント上昇した。新型コロナウイルスの影響で雇用情勢の悪化が進み、3%台は3カ月連続。完全失業者数は、前月より8万人多い214万人となった。
一方、厚生労働省が1日に発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0・01ポイント高い1・04倍だった。新型コロナウイルスの影響で9月まで9カ月連続で悪化していたが、やや改善した。ただ、厚労省は「回復傾向に転じたとまでは判断できない」としている。
求人倍率は、求職者1人あたり求人が何件あるかを示す。10月は有効求人が前月から2・2%増え、有効求職者の増加を上回った。就業地別でみると、1倍割れは前月より4少ない13都道府県。最低は沖縄県の0・73倍、最高は福井県の1・58倍だった。
ただ、新規求人は前年同月比23・2%減で、10カ月連続のマイナス。宿泊・飲食サービス業が同38・2%、生活関連サービス・娯楽業が同35・4%減少するなど、全主要産業が前年同月を下回った。
(朝日新聞デジタル 12月1日)

失業者が増加する一方で、人手不足も深刻化している。東京商工リサーチの調査によると、2020年上半期(1~6月)の「人手不足」関連倒産は、253件(前年同期比33.1%増)。上半期としては2019年(190件)を上回ってもっとも多かった。
内訳は、代表者や幹部役員の死亡、病気入院、引退などの「後継者難」が194件(前年同期108件)、人手確保が困難で事業継続が難しい「求人難」が26件(前年同期47件)、中核社員の独立、転職などで事業継続に支障が生じた「従業員退職」が19件(同20件)、賃金等の人件費アップから収益が悪化した「人件費高騰」が14件(同15件)だった。
産業別では、多い順に建設業の58件(前年同期比75.7%)、サービス業他56件(同11.1%減)、製造業39件(同77.2%増)、卸売業35件(同84.2%増)、小売業27件(同58.8%増)、運輸業15件(同16.6%増)だった。
コロナ禍で大失業時代が襲来する兆しも見え隠れしているが、失業者の受け皿になり得ない企業も一向に絶えない。このギャップは埋まらず、労働力移動は理屈どおりに進まない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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