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青山商事が初の希望退職募集 新型コロナにより通期は292億円の赤字に

「洋服の青山」「THE SUIT COMPANY」などを展開する紳士服大手の青山商事(株)(TSR企業コード:720045720、福山市、東証1部)は11月10日、希望退職を募集すると発表した。募集人数は400人で募集期間は12月14日から2021年2月19日を予定。対象は40歳~63歳未満で勤続5年以上の正社員・無期契約社員。同社での希望退職の募集は初めて。
青山商事は、新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴う外出自粛等の影響が大きく、今春以降、ビジネスウェアの販売不振が続いている。今回の希望退職募集と合わせ、大幅な店舗数の削減も予定している。閉鎖する店舗については、「(今月)11日に公表する」(担当者)という。
 青山商事が同日発表した2021年3月期(連結)の業績予想は、売上高1723億円(前年比20.9%減)、営業利益128億円の赤字、純利益292億円の赤字を見込む。販売不振と店舗の減損損失、希望退職に係る損失などが響く。  同時に発表した2021年3月期第2四半期(連結)は売上高が前年同期比40.1%減の610億6500万円、純利益は169億3800万円の赤字だった。
(東京商工リサーチ 11月10日)

クールビズを契機に、ビジネスマンの仕事着がスーツからカジュアルウェアへと移行している。紳士服専門店には逆風のトレンドがつづいていた。在宅勤務が拡大すれば、まずますスーツの需要は減ってしまうが、在宅勤務から出勤への逆転は期待できない。出勤人数の激減に対応してオフィスを縮小する企業が続々と現われているぐらいだ。
クールビズが地球温暖化対策としてはじまったのは2005年。それ以降、夏には公の場でネクタイを着用しなくとも失礼に当たらなくなった。すでに多くのITベンチャーでは、上場企業でも私服出勤が定着していた。お堅い社風の企業にあっても、夏以外にも社員の服装は徐々にカジュアルな方向へと流れていった。
クールビズの象徴はノーネクタイである。ビジネスマンにとってはネクタイから解放されてよいが、ネクタイ業界にとっては死活問題だ。
東京ネクタイ協同組合はホームページにこう報告している。
<我々はあたかもCO2削減運動は「ノーネクタイで全て達成できる」というようなイメージを植えつけた政府に対し意見書を提出したり、「ノーネクタイ」という表現は使わないように環境省に申し入れるなどの組織運動を実施しました>
 コロナ禍は産業構造を転換しつつあるようだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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