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エイベックス、初の希望退職募集

音楽・映像事業を手掛けるエイベックス(株)(TSR企業コード:294000011、港区、東証1部)は11月5日、希望退職を募集すると発表した。募集人数は約100名。エイベックスで希望退職を募集するのは初めて。
募集期間は12月10日~21日で、退職日は来年3月31日を予定する。ライブ、舞台などを含む音楽事業の一部と間接部門に在籍する40歳以上で、対象社員443名。
同日発表した2021年3月期第2四半期(連結)で、最終利益は32億8900万円の赤字だった。「新型コロナウイルス」感染拡大により、「a nation」などのライブ、イベントの開催自粛が影響し、売上高は前年同期比44.0%減の342億7900万円と苦戦を強いられた。    2020年の上場企業の早期・希望退職実施数は、エイベックスを含め11月5日時点で74社にのぼり、2010年の85社以来10年ぶりの水準で推移している。
(東京商工リサーチ 11月5日)

音楽・映像業界も動画配信サービス会社は“コロナ好況”だったが、リアルビジネスはどうにもならない。飲食業と同じである。冬に入ってコロナ感染者が増加傾向を辿っているが、飛沫の飛び交う場面で発症することが分かったことで、対面回避への行動変容は進んでいく。
当分の間、ライブやイベントの本格再開は期待できない。
コロナ不況を反映する2つのデータがある。ひとつは法人申告所得額だ。国税庁の発表では、2019年度決算期の法人の申告所得額は18年度比11.4%減の65兆52億円。10年ぶりの減少だった。
もうひとつのデータは健康保険組合連合会の試算である。大企業の社員らが加入する健保連は、企業業績悪化による保険料収入の減少で2021年度に6700億円の赤字、22年度は9400億円の赤字になるとの試算を発表した。
コロナ感染者が顕著に増え出した札幌市では、飲食店の夜間営業自粛を検討するという。ふたたび政府が行動変容を呼びかければ、個人消費はいちだんと冷え込み、希望退職のニュースも絶えないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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