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副業容認の企業は49% マイナビ調査

就活情報大手マイナビがまとめた働き方や副業に関する調査によると、副業・兼業を認めている企業は49.6%だった。理由は「社員の収入を補填するため」が43.4%と最多で「社員のモチベーションを上げるため」が37.5%で続いた。マイナビは「新型コロナウイルスによる業績悪化の影響で、社員の収入を考慮して副業を容認する傾向がある」と分析している。
調査は1~7月に中途採用に携わった人事担当者を対象に実施した。回答数は1910件だった。対象を絞り込むためのスクリーニング調査を7月31日~8月7日、本調査を8月7~11日に実施した。
副業・兼業を認めている企業を規模別にみると、60未満が49.2%、60~299人が47.5%、300人以上が52%で大きな差はみられなかった。一方で株式の公開別にみると、上場企業が57.1%、未上場企業が46.7%だった。
マイナビは「上場企業のほうが社内の管理体制が整っている傾向にあり、自社内のイノベーション創出のために副業・兼業に積極的なのではないか」とみている。
(日本経済新聞 11月3日)

副業は他流試合である。自社とは異質の風土や価値判断基準に触れれば、たとえ動機が生活費稼ぎでも、社員に変化が現われる。愛社精神にあふれる社員は、ともすれば自社の価値判断基準や思考方法を絶対視しがちだが、他流試合によって相対視できるようになる。
自社と同様に、他社にも固有の価値判断基準や思考方法があることを知る。当然の理だが、自社を絶対視すると、世間が見えなくなるか、あるいは見えても排斥に向かってしまう。
副業の解禁は、いわば鎖国から解放されたようなものだ。唯我独尊や自画自賛を修正する絶好の機会である。マイナビ調査では、もっとも多かった変化が「社員が異なる意見や態度を示す者に対し、柔軟な対応ができるようになった」の27.7%だった。
それにしても就業規則で副業を禁止して、発覚すれば処罰の対象にする企業も珍しくなかったが、いまや隔世の感がある。業績悪化が給与が大幅にダウンしでも、生活費補填のために副業をすることは許されず、副業する余裕があるなら社業に尽くすべきだと、社員はなかば拘禁状態に置かれていた。
その慣行が一変した。ただ、副業を容認する条件で給与を抑制する企業も現われるだろう。副業容認は給与抑制策の手段としても推進されるのではないのか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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