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求人広告件数、9月55.5%減 飲食や販売減少

人材サービス会社でつくる全国求人情報協会(全求協、東京・千代田)が23日発表した9月の
求人広告掲載件数(職種別、週平均)は、前年同月比55.5%減の68万9366件だった。前月比でも
2.5%減った。サービス消費の低迷を受け、飲食や販売の求人が減っている。
職種別では「給仕」が前年同月比68.7%減、「販売」が同55.1%減った。飲食系の求人は「東京都心部は厳しいが、郊外は増えているなど地域差がある」(リクルートジョブズ)。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が終息せず、掲載件数は5月を底にほぼ横ばいで推移している。
「運搬・清掃・包装等」は前月比3.4%増えた。インターネット通販の利用拡大で物流施設の倉庫内作業などの求人が増えている。前年同月比では48%少ない。「医療・福祉サービス」は同46%減、前月比でも7.2%減った。
(日本経済新聞 10月24日)

飲食店の求人広告件数が減少している背景は、売上高に顕著に現われている。日本フードサービス協会が加盟社を対象に実施した8月の売上高は、前年同月比84.0%だった。経費は大幅に下がっていないだろうから、15%近い粗利益が吹き飛んだのではないか。
ただ、ひと口に飲食店といっても、業態によって落ち込み方に相当な差がある。
ファストフード業態は、テイクアウト・デリバリー需要が好調な洋風に支えられ、前年同月比96.6 %。何とか微減にとどまった。ファミリーレストラン業態は75.1%。パブ・居酒屋業態41.0%と下落率が50%を上回り、同協会は「壊滅的な状況が続いている」と見ている。ディナーレストランも落ち込みが激しく65.1%だった。
業態別の落ち込み幅を比較すると、客単価の高い業態ほど落ち込み幅が大きい。それだけ会食の機会が減っていることがうかがえる。在宅勤務がさらに進めば会食も減り、パブ・居酒屋業態の業績回復は期待できない。
すでにワタミは、居酒屋業態120店舗を「和民の焼肉」に転換する計画を発表した。業態転換ができるだけの体力を備えていなければ閉店の検討に向かうが、飲食店の閉店には原状回復に相当な費用が発生する。厨房機器を中古品業者に引き取ってもらっても、さほどの値はつかない。
この状況から、飲食店向けの求人広告や人材紹介にとって先細りは避けられない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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