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DX.・多様性 なぜ遅れ?

デジタル技術で事業を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)や、多様な人材を活用するダイバーシティー(多様性)で日本企業が欧米に比べて遅れている。2つの変革の波を企業の成長につなげるにはどうすればいいか。マッキンゼー・アンド・カンパニーの岩谷直幸日本代表に聞いた。
(中略)
 ――DX人材は世界で獲得競争が激しいです。
「技術と経営を分かっている人材は確かに少ないが、社内にも埋もれている。年功序列を壊し、デジタル技術に精通する若手社員を積極的に引き上げ、新しいチームを編成してはどうか」
「その意味では、多様性も単なるノルマではない。若手や女性、外国人を巻き込めば、従来と違う発想を得られ、イノベーションを生み出す好機になる。多様性は競争力の源泉になる」
(中略)
「社内人材の足りない要素を可視化し補強する姿勢が重要だ。生産性の改善は分母の資本投入量を抑えるより、分子のアウトプットを上げるべきだ。その手段としてDXや多様性は有用となる」
(日本経済新聞 5月5日)

 その昔、技術者に顧客ニーズを把握させる目的で、営業を担当するセールスエンジニアへの登用が話題になった。すぐに当然の人事として普及し、話題にすらならなくなった。
 DXをITと混同している人もいるが、DX推進の前提はビジネスモデルの変革だから、DX人材はビジネスに通じていなければ成果を出せない。ITに通じているだけでは務まらず、経営の中枢に関われる立置への配置が必要だ。
 しかも年功型賃金を適用すれば外資系に獲られてしまうし、社内で相応の権限を付与されなければ、業務委託人材のような立場にとどまりかねかい。当面はジョブ型雇用によって成果主義を適用する人事が増えるだろうが、DX効果を出すために役員への登用も珍しくなくなるのではないか。
 経営を知るには役員として事業全体に関わることが絶対条件だ。担当部門にとどまっているだけでは、その部門のDXにしか関われない。
 あくまで事業全体に関わらなければ、この記事で指摘された「技術と経営を分かっている人材」になり得ない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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