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学生の就職機会確保を求める 文科相、コロナで就活の環境悪化

萩生田光一文部科学相は18日のNHK番組で、新型コロナウイルスの影響で大学生らの就職活動を巡る環境が悪化しつつあるとして「コロナ下で卒業する学生を長期的に採用するルールを経済界に求めたい」と述べ、来春以降に卒業する学生の就職機会を確保すると表明した。
現状の就職活動では新卒一括採用を行う企業が多く、就職できずに卒業した場合は不利になる傾向がある。萩生田氏は田村憲久厚生労働相と連携していく意向を示した。
来年、大学進学を目指す受験生に対しては「財政的な理由で諦めたり、受験校数を絞ったりすることのないように応援していきたい」と話した。
(共同通信 10月18日)

就職氷河期世代はいまや40代半ばとなった。正規雇用であってもリストラ対象世代である。まして非正規雇用から正規雇用への転換は容易ではなく、この世代は50代になってもなお非正規雇用をつづけざるを得ない可能性が高い。
就職氷河期世代の規模には至りそうにないが、コロナ禍での新卒採用状況も深刻だ。先月、都内の私立大学教授に事情を聞いたら「うちの4年生の内定率は現時点で55%前後。来年度も企業の業績悪化がつづくだろうから、新卒採用は一層絞られる可能性がある」と厳しい見通しを述べていた。
ふたたびロストジェネレーションが出現すれば、社会不安が増大し、奇怪な出来事が頻発するのではないか。
一方、新卒採用を手控えると、やがて中堅社員層が脆弱になるなど社員の年齢構成がいびつになるという問題があった。だが、これは採用対象をおもに新卒に定めていた時代の問題で、いまは不足する社員層は中途採用で補うのが通例だ。人材の流動化が進んでいないとはいえ、採用方針は柔軟に変化している。
政府が新卒採用を要請しても、企業の人事方針にまで影響力をおよぼし得ない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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