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古巣受け入れ 増加傾向

退職した社員を再び受け入れる会社は増加傾向にある。人材サービスのエン・ジャパンの2018年の調査では、いったん退職した社員を再雇用したことがある企業の割合は回答した661社の72%を占め、16年の前回調査(67%)から上昇した。
理由を尋ねたところ「即戦力を求めていた」「人となりが分かっているため安心」などが多かった。周囲の社員の反応も「良好」が8割を超えた。かつて在籍した古巣だけに、戻った後もなじみやすい社員の姿がうかがえる。
一方で、こうした再雇用をきちんと制度化している企業は8%と、ごく一部にとどまった。今後、少子高齢化の進行に伴って労働力人口はさらに逼迫することが確実視されており、経験豊富な人材の有効活用は喫緊の課題だ。
(日本経済新聞 10月18日)

退職者の再雇用はミスマッチのリスクを低減できるだけない。再入社する社員は他流試合の経験者である。社外で培った知見が活きるように処遇することがポイントだ。社内の組織運営や業務遂行に改善点があれば、遠慮なく指摘してもらえばよい。
通常、中途入社社員にとって「前職ではこうだった」と口にすることは慎むべきとされている。「郷に入っては郷に従え」の理が優先される。だが、他流試合の経験者を受け入れるのだから、事例として、どんどん話してもらって取捨選択すればよい。
これは人にもよるが、新卒でひとつの会社しか経験しないと、ともすれば“会社の論理”に埋没し、視野狭窄におちいりかねない。合弁会社に出向したり、他社との共同プロジェクトを担当したりして、自社以外の価値観や仕事の仕方を経験すれば、会社の論理を相対化できるようになるが、そういう社員は少ない。
ジョブ型雇用が進めば、多様化する雇用形態に退職者の再雇用も広がるはずだ。柔軟な受け入れ姿勢が採用力を左右する。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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