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NEC、自社シニア派遣 定年後も活躍の場

NECは、高度な専門知識を持つ60歳以上のシニア人材の就業支援に乗り出す。人材派遣などを担う会社を新設し、定年後もグループ内や顧客企業で現役時代の知見を生かした仕事を続けられるようにする。同社では今後5年の間にグループ全体で年間約3千人が定年を迎えると見込む。労働人口の高齢化を見据え、企業が働く場を提供する動きが広がりそうだ。
10月に新会社「NECライフキャリア」を立ち上げた。IT(情報技術)開発などで優れたスキルを持ったシニアの高度人材向けに、他社への派遣や仕事のあっせんを2021年度から始める。
NECは60歳が定年で、希望者については多くの場合給与を減らし65歳まで再雇用する。新たな仕組みで定年後も各人の資質に見合った仕事を見つけやすくなるほか、現役並みの給与を得る機会を提示しやすくなる。
個人のスキルごとに月収などを定め、相手企業と給与などの雇用条件を調整して派遣する。例えばグループ内の新プロジェクトへの一定期間の派遣や、地方の取引先に週3回で勤務してもらうことなどを想定している。
(日本経済新聞 10月17日)

定年退職者が再雇用先で重宝されるかどうかは、ひとえに働き方による。長年の社会人経験であるべき働き方ぐらい理解していそうだが、実行に移せるとは限らない。
定年退職者の人材紹介業の嚆矢ともいえる高齢社(東京都千代田)は、紹介する人災に対して「就労時のお願い事項」として、次の11項を周知徹底させている。
ます「職場での人間関係の早期確立のため」として①あいさつは自分から。派遣先企業の立場になり、新人社員のつもりで②たとえ上長がかつての部下でも、「さん」付けで。現役時代の職位・資格はいわない③過去の成功談(自慢話)はいわない。派遣先社員には教えていただくという姿勢で。
次に「仕事への取り組み」として④自分でできることは、進んで自分からする⑤自分の役割を自覚し、仕事は完全にやり切る⑥過去の知識・経験を活かしつつ、謙虚な気持ちで仕事に取り組む⑦作業災害・交通事故、作業ミスの発生防止に努める⑧ユニフォーム、身だしなみは常に清潔に。
さらに「心構え」として⑨自分以外はお客さま。自分の給料はお客さまからいただいていることを忘れない⑩かつての部下も、後輩も、いまはすべてお客さまという意識を⑪身辺はきれいに。人は常に厳しく見ていることを忘れずに。
どれもごく当然すぎる内容だが、当然すぎるだけに見過ごしやすい。だが、元部下たちはよく見ている。再雇用時には、改めて高齢社が明文化したような事項の教育が必要である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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