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冬のボーナス初めてゼロ、全日空が労組に提示…一般社員の年収3割超減

全日本空輸(ANA)は冬のボーナスを支給しない方針を固め、7日、労働組合に提案した。一般社員の月額給与も20年ぶりに減らす。新型コロナウイルスの感染拡大で経営が悪化していることを受けたものだ。一般社員の平均年収は、前年に比べて3割超、減るという。  

労使協議を経て、今後策定する構造改革計画に盛り込む。  

会社側の提案によると、記録が残る1962年以降では初めて、冬のボーナスの支給を見送る。夏のボーナスは半減(月額給与の1か月分)としたが、経営の先行きが見通せないことから、冬の支給は難しいと判断した。  

一般社員の月給引き下げは、2000年度以来となる。これまで、役員報酬と管理職の月給は4月から引き下げていたが、対象を一般社員まで広げる。終了時期は定めていない。(読売新聞オンライン 10月7日)

 公開データによると、ANAホールディングスの連結従業員数は4万5849人。平均年齢45.8歳。平均年収737万円。この年収から3割超減らされると515万円に下がる。

 515万円は世間相場と比べて、どのぐらいの水準なのか。

 国税庁民間給与実態統計調査によると、 民間企業で働く人が2019年の平均年収は436万4000円。大手企業の年収は大幅に引き下げられても、なお民間企業の平均をゆうに上回る。

では上場企業の平均年収と比較すると、515万円は高いのか低いのか。東京商工リサーチに調査によると、2020年3月期決算の上場1803社の平均年間給与は630万5000円だった。天下のANAといえども、平均年収は上場企業の平均を100万円下回ってしまう。

今年の夏と冬の賞与が下がり、今年度年収が大幅に下がる企業が多いことを想定すれば、いずれの比較にも補正が必要だが、大まかにいえばANAの年収は世間並になってしまった。来年度の社会保険料の支払いもさることながら、生活設計の見直しに迫られるだろう。

それでも雇用が維持されるのなら、それだけでも御の字である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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