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三菱自、冬のボーナス2割減…組合と合意

三菱自動車は新型コロナウイルスの感染拡大で経営環境が悪化しているため、冬のボーナスにあたる年末一時金を、春に労使が妥結した水準から2割超引き下げることで労働組合と合意した。国内の一般社員ら約1万3000人が対象となる。
春には2・65か月分で妥結していた。しかし、業績回復に向けた構造改革を加速するため、経営側が0・6か月分を引き下げ、2・05か月分とする減額案を提示。組合側も提案を受け入れた。いったん合意した年末一時金の水準を引き下げるのは、2004年のリコール隠し問題で支給を取りやめて以来となる。
三菱自は21年3月期連結の最終利益を3600億円の赤字と見込んでいる。このため、今後2年間で1000億円規模の固定費削減に取り組む方針で、冬のボーナス削減もその一環となる。非組合員である管理職も基本給を1割カットしている。11月中旬から国内で約550人の希望退職を募集し、新規採用も抑える。
(読売新聞オンライン 10月13日)

「平均年収.JP」によると、三菱自動車の平均年収は726万円。30代で平均666万円、50代で平均787万円。役職別の平均は、主任729万円、係長823万円、課長1087万円、部長1202万円。
これだけの水準の収入があるのなら、冬のボーナスが2割削減されても十二分に凌げるだろう。
そもそもボーナス2割減など、三菱自動車でなければニュースにならない。コロナ禍でボーナスを本来の8割受け取れるのだから、それだけでも恵まれている。
 だが、当事者の受け止め方はそうではないのではないか。世間一般や同業他社と比較したうえで、妥当かどうかを評価することは稀である。普通、そこまで客観的にはなれない。比較対象はあくまで前年実績だ。
 公務員も同様に客観的になれないようだ。大手企業よりも賃金水準は低いが、中小企業よりは高いので「現状の水準は妥当」とはならない。聞けば、ほとんどが「仕事の割りに低い」と答える。さらに聞くと「上場企業に就職した同級生に比べると相当低い」と比較の基準を示してくる。
 収入の多寡は自分よりも多い人と比べるのが通常で、少ない人と比べる人はあまりいない。少ない人と比べて満足するよりも、多い人と比べて上昇志向をもつほうが、日々に活力が生まれる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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